[監査]

○公表


監査公表第486号

 地方自治法第199条第7項の規定による監査を実施し,同条第9項の規定により監査の結果に関する報告を決定しましたので,同項の規定により,次のとおり公表します。
  平成15年8月20日
京都市監査委員 井上 與一郎
同    安孫子 和子
同    下薗 俊喜
同    奥谷 晟


平成15年度出資団体監査結果公表


 監査の種類 出資団体監査
 監査の対象 財団法人京都市健康づくり協会
 監査の対象期間 平成14年4月から平成15年3月まで
 監査の実施期間 平成15年6月から同年8月まで
 監査の範囲及び方法 今回の監査は,団体における事務事業のうち,主として平成14年4月から平成15年3月までの間の経理事務及び運営状況を対象とし,関係帳簿,証書類等を審査し,文書及び口頭による質問調査を行い,必要なものについて実地調査を行った。
 注 団体の経理の状況に関する諸表中の計数は,団体の決算書に基づき表示している。


 1 概要
(1) 設立及び事業目的
 財団法人京都市健康づくり協会(以下「健康づくり協会」という。)は,平成5年1月に設立され,市民が安全で効果的な健康づくりを行えるように,健康づくりの理論の確立及び実践のための環境整備を図り,もって市民の健康と福祉の向上に寄与することを目的としている。
(2) 事業
 健康づくり協会は,その目的を達成するために,次の事業を行っている。
 健康づくりを図るための実践活動の推進
 健康づくりに関する調査,研究及び情報の提供
 健康づくり関連団体等との連携及び協力並びに当該団体等の活動の振興
 健康づくり指導者の養成及び研修
 京都市健康増進センターの管理運営業務の受託
 その他健康づくり協会の目的を達成するために必要な事業
(3) 基本財産
 健康づくり協会の基本財産は,5,000万円であり,全額を京都市が出えんしている。
(4) 組織(平成15年6月1日現在)

組織図


(5) 主な事業
 京都市健康増進センターの管理及び運営
(ア) 京都市健康増進センター「ヘルスピア21」の概要



京都市健康増進センター「ヘルスピア21」の概要




(イ) 施設別利用者数(一般利用)(単位 人)  

施設別利用者数(一般利用)



 健康度測定及び生活プログラム作成・指導
 生活状況調査,医学的検査,運動機能検査,診察を通して健康状態の総合判定を行い,その結果に基づき個々の利用者に適した生活プログラム(食生活やトレーニングメニュー)を作成し,医師,管理栄養士及び健康運動指導士による指導を実施している。

 利用者数(単位 人)

利用者数



 健康づくり教室の開催



 受講者数(単位 人) 

受講者数



(ア) 元気創造クラブ
 加入者個々の健康状態を定期的に確認しながら,医師,管理栄養士,健康運動指導士等の指導の下に,生活プログラムに基づく運動の実践等をクラブ形式で実施している。
(イ) ダイエット・生活習慣病予防コース
 メディカルチェック(運動中の心電図検査,血液及び尿検査)をはじめ,身体計測等の検診を受け,医師による個人指導及びグループでの講話,管理栄養士による栄養指導並びに健康運動指導士によるメニュー作成を行い,ダイエットや,高血圧,高脂血症,脂肪肝,糖尿病等の人を対象とする生活習慣の改善及び生活習慣病の予防を図っている。
(ウ) 運動療法コース
 市内の病院等の紹介により,治療目的で運動療法の指示のあった人を対象に,それぞれの健康度に合わせて栄養指導及び運動指導を行っている。
(エ) スポーツ教室
 水泳やエアロビクス等の各種運動の実技指導を通して健康づくりを行うため,人気が高い水泳教室等を中心に,平成14年度からは新たに社交ダンス教室及び健康カラオケ教室を開講し,計48教室を実施している。
(オ) 無料体験コース
 プールやトレーニングルームの施設を無料で体験してもらうとともに,健康に関する講話や運動指導等を通して,健康づくりの支援を行っている。



 健康づくり関連団体等との連携
 健康づくりに取り組む各種団体等に対して,講師の派遣,健康教室の開催等を行っている。
(ア) ヘルスアップスクールの運動指導部門
(イ) 元気・アクションクラブ健康づくり事業
(ウ) 骨粗しょう症予防対策モデル事業
(エ) 体力測定及び運動指導のための講師派遣
(オ) トレーニングルームにおける指導事業


(6) 経理の状況
 健康づくり協会の経理の状況は,次のとおりである。


 収支計算書(単位 円) 
収支決算書



 貸借対照表(単位 円) 
貸借対照表

 2 監査の結果
 監査の結果,経理事務はおおむね適正に処理されていると認めたが,一部に次のような事項があった。
(1) 改善又は検討を必要とするものは,次のとおりである。
 予算及び決算事務
(ア) 公益法人会計基準(以下「会計基準」という。)では,公益法人の収入及び支出は,予算に基づいて行わなければならないとされている。この予算の管理について,
 予算差引簿を作成していなかった。
 予算の流用決定を事前に行っていないものがあった。
 予算は適正に管理されたい。
(イ) 会計基準では,収支計算書はすべての収入及び支出を表示することとされているが,特定預金取崩収入及び特定預金支出について,これらの額を相殺して,差額のみを収支計算書に記載していた。
 収支計算書には収支の内容を正確に表示されたい。
(ウ) 会計基準では,収支計算書等の科目として固定資産取得支出及び固定資産売却収入を示しているが,財団法人京都市健康づくり協会経理規則施行細則(以下「経理規則施行細則」という。)では,勘定科目としてこれらの科目を規定していなかった。
 経理規則施行細則を整備されたい。
 支出事務
(ア) 財団法人京都市健康づくり協会経理規則(以下「経理規則」という。)では,小口現金以外の支払いの方法については原則として口座振替とされているが,手持現金に普通預金から補充を行い,小口現金に該当しない経費の支払いに充てていた。
(イ) 委託契約に係る支出について,
 契約書で業務の終了後に支払うこととされている委託料を,業務の終了前に支出していたものがあった。
 プール監視等の派遣業務の委託について,派遣時間の記録を保管していないため,契約どおり履行されているか確認ができていなかった。また,契約書では毎月同一時間数の派遣を行うこととされているが,時期により派遣時間の増減を認めていた。
 適正な事務処理をされたい。
 契約事務
(ア) 経理規則で必要とされている競争入札を行っていないものがあった。
(イ) 随意契約について,見積合わせを行っていなかった。また,随意契約を行う根拠を明記せず,随意契約の決定を行っていた。
 適正な事務処理をされたい。
 施設の管理委託事務
 健康づくり協会は,京都市健康増進センター(以下「センター」という。)の施設の専用利用に係る許可に関する事務,センターの利用に係る管理事務等の委託を京都市から受けている。
 この事務について,
(ア) センターの施設の専用利用に係る最少人数,受付期間等は,京都市健康増進センター条例施行規則(以下「施行規則」という。)で定められているが,
 施行規則で定められた最少人数を下回っている利用の申請を受け付けていたもの
 施行規則で定められた日の前から利用の申請を受け付けていたものがあった。
(イ) 施設の利用料金の減免に当たり,市長の承認を得ていないものがあった。
(ウ) 駐車場の利用について,
 京都市健康増進センター条例に規定のない月ぎめの利用契約を行っていた。
 金銭投入装置の記録シートの合計金額を訂正していた。
 施行規則の整備を検討するとともに適正な事務処理をされたい。
 資産管理事務
(ア) 固定資産台帳に固定資産の数量を記帳していなかった。
(イ) 経理規則施行細則では,物品は備品と消耗品に区分することとされているが,すべて消耗品としていた。
(ウ) 経理規則施行細則では,備品台帳を備えることとされているが,これを作成していなかった。
(エ) センター内に設置している自動販売機について,行政財産の目的外使用許可手続を行っていなかった。
 資産の管理は適正にされたい。
(2) 結び
 健康づくり協会は,平成5年1月に設立され,市民の健康の保持及び増進を推進するための拠点施設であるセンターの運営管理,健康度測定等の事業を,京都市から委託を受けて行うとともに,自主事業としての健康づくり教室の開催,健康づくり関連団体等との連携事業等を行っている。
 平成14年度は,各種のスポーツ教室等の健康づくり教室事業の利用者が,新たな教室の開講等により若干増加したものの,プール及びトレーニングルームの利用者は3年連続で減少している。
 こうした中で,人件費をはじめとする経費の削減に努めたものの,施設利用料金収入等の減少が続き,財源の不足に対応するため,3年連続で経営安定化基金を取り崩している。利用料金制度を採用しているセンターの施設利用料金収入は,健康づくり協会の事業運営に大きい影響を及ぼすものであり,利用者ニーズの把握や施設のPRを充実するなど施設の利用促進を図り,収入の増加に取り組まれたい。
 また,センターの特徴である健康度測定部門の医療専門スタッフや医療機器を活用した取組を図るなど,一層の効率的な運営に努められたい。
 これまでの健康づくり協会の運営状況とセンターの利用実績等を考慮し,今後の運営について,設立目的に則して更に検討を深められ,市民の健康づくりの一層の推進に貢献されることを期待する。


 

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