平成25年第4回定例会 【意見書・決議書】

台風18号による豪雨災害に関する意見書
(25年10月2日提出)

 9月15日から16日にかけて日本列島を襲った台風18号により,我が国で初めて京都市に大雨特別警報が発表され,約30万人の市民に避難勧告・避難指示の発令を余儀なくされる豪雨をもたらした。桂川や中小河川の氾濫によって建物が床上・床下浸水被害に遭うとともに,土砂崩れ,農地の冠水,道路橋の落橋,地下鉄東西線の浸水など各所で大きな被害を受けた。
 景勝地の嵐山においては,道路や建物の冠水による被害が発生したが,地元による懸命の復旧作業もあって,一部の旅館や店舗を除いて観光を楽しんでいただけるまでに回復しているものの,風評被害による観光客の減少が懸念されている。
 こうした中,京都市では,地域団体や災害ボランティア,関係機関との連携と協働により,被災者の生活再建はもとより,公共土木施設の復旧,観光業や農林業の復興等に全力で取り組んでいるところである。
 よって国におかれては,一日も早い復旧・復興と共に,災害対策の充実・強化を図るため,下記の事項について,緊急かつ特段の支援措置を講じられるよう強く要望する。

 

 被害を受けた被災者の生活再建に対する支援制度の柔軟かつ迅速な運用をすること
 被災した社会福祉施設等が,サービス等の提供を安定的に再開できるよう,災害復旧に対する整備助成制度を拡充し,柔軟かつ迅速に運用すること。
 風評による観光客離れを防ぐため,積極的な情報発信等の取組に対して財政支援を行うとともに,国においても国内外に広く情報発信を行うなど風評被害対策への支援を行うこと。
 被災した商店街の復興に活用できるよう,商店街向け補助事業の募集期間の延長をすること。
 雇用調整助成金の給付条件を緩和し,被災した事業者も適用対象とするとともに,売上高減少率の確認期間も短縮すること。
 国庫補助対象外の応急復旧経費や,支援金・助成制度に係る財政負担軽減のため,特別交付税による十分な支援を行うこと。
 公共土木施設災害復旧事業補助の要件緩和など柔軟な制度の運用と速やかな事業採択を行うこと。
 農地,農業用施設,林道,森林等の災害復旧事業の早期採択を行うとともに,農林家負担の軽減のため,国費補助率算定基準の緩和を行うこと。
 河川敷農地等の営農の早期再開に向け,更に迅速な対応をすること。
10  農林産物の被害に対する支援を行うこと。
11  冠水被害を受けた地下鉄東西線の復旧に要する費用について,鉄道災害復旧事業に対する補助対象要件を緩和し対象経費を拡大するとともに,振替輸送費等に対する財政措置を行うこと。
12  桂川流域の緊急対策として堆積土砂のしゅんせつなどの対策を実施するとともに,桂川等全体の洪水対策を強力に推進すること。
13  帰宅困難者対策も含めた災害備蓄物資の充実,保管場所の整備など,防災対策を一層強力かつ計画的に推進するために支援制度の拡充を行うこと。
14  要配慮者を対象とした「福祉避難所」について災害備蓄の支援制度や人的支援に対する補助制度を創設すること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,厚生労働大臣,農林水産大臣,経済産業大臣,国土交通大臣,
内閣府特命担当大臣(防災)


京都御苑周辺の環境保全に関する決議

(25年10月2日提出)

 今般,京都御苑東側の梨木神社敷地においてマンションの建築計画があることが明らかになり,京都市民に戸惑いが広がっている。
 当該地は,大宮御所,京都迎賓館に隣接しており,文化首都として広く認知されている京都にとってマンション建設にふさわしい土地とは言えない。しかしながら,法的に建設は可能である中で計画が進んできているとのことである。一部の神社や寺院の維持管理が大変であるという状況は,京都市としても大きな問題として認識する必要がある一方で,多くの世界遺産が存在する京都市は,厳しい景観政策を実施し,次世代に文化を受け継ぐことができるよう努力を重ねているところである。
 特に京都御苑近接の環境保全は,先人たちから京都市民が受け継いできたものである。
 よって京都市は,マンション建設については計画の中止も含め事業者と十分協議を行い,解決を図るべくあらゆる努力を行うこと。
 
 
 以上,決議する。



地方税財源の充実確保に関する意見書
(25年10月28日提出)

 地方財政は,社会保障関係費などの財政需要の増加や地方税収の低迷等により,厳しい状況が続いている。こうした中,基礎自治体である市が,住民サービスやまちづくりを安定的に行うためには,地方税財源の充実確保が不可欠である。
 よって国におかれては,下記事項を実現されるよう強く要望する。

 

  地方交付税の増額による一般財源総額の確保について
(1)  地方単独事業を含めた社会保障関係費の増など地方の財政需要を,地方財政計画に的確に反映することにより,一般財源総額を確保すること。
(2)  特に地方の固有財源である地方交付税については,本来の役割である財源保障機能・財源調整機能が適切に発揮されるよう増額すること。
(3)  財源不足額については,臨時財政対策債の発行等によることなく,地方交付税の法定率の引上げにより対応すること。
(4)  依然として厳しい地域経済を活性化させる必要があることから,地方財政計画における歳出特別枠を維持すること。
(5)  地方公務員給与の引下げを前提として,平成25年度の地方交付税が削減されたが,地方の固有財源である地方交付税を国の政策誘導手段として用いることは,避けること。
  地方税源の充実確保等について
(1)  地方が担う事務と責任に見合う税財源配分を基本とし,当面,国と地方の税源配分を「5:5」とすること。その際,税源の偏在性が小さく,税収が安定的な地方税体系を構築すること。
(2)  固定資産税は,市町村の基幹税目であることから,その安定的確保を図ること。特に,償却資産の根幹をなしている「機械及び装置」に対する課税等については,現行制度を堅持すること。
(3)  法人住民税は,均等割の税率を見直すこと。
(4)  ゴルフ場利用税は,ゴルフ場所在の市町村にとって貴重な税源となっていることから,現行制度を堅持すること。
(5)  地球温暖化対策において地方自治体が果たしている役割を踏まえ,地球温暖化対策譲与税を新たに創設するなど,地方税財源を確保する仕組みを構築すること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,内閣府特命担当大臣(経済財政政策)


公共事業における国産材の活用を求める意見書

(25年10月28日提出)

  「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が制定されたことにより,公共建築物の木造建築化が推進されることとなった。しかし,実際に木造化された建築物はまだまだ少なく,持続可能な森林経営が可能なレベルにはなっていないというのが現状である。
 本市では,北山杉をはじめとする地域産材の積極的活用等,林業振興の取組を行っているが,日本の森林を守り持続可能な林業経営を可能とするためには,更なる国産材の利用が求められる。
 よって国におかれては,公共建築物の内外装・道路の木製ガードレール等,公共事業において国産材(地域産材)の更なる利活用を推進するよう強く求める。
 
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,農林水産大臣,経済産業大臣,国土交通大臣


鳥獣被害防止対策の充実を求める意見書

(25年10月28日提出)

 野生鳥獣による農作物被害は,深刻化し,シカ,イノシシ,サル,クマなどの野生鳥獣による農作物被害額は,平成21年度以降,毎年200億円を上回っている。また,被害は,経済的損失にとどまらず,農業従事者の意欲の減退や耕作放棄地の増加など,著しい悪影響を与えている。
 鳥獣被害が深刻化している要因として,鳥獣の生息域の拡大,狩猟者の高齢化等に伴う狩猟者数の減少による捕獲圧の低下,耕作放棄地の増加等が考えられる。
 こうした鳥獣被害の深刻化・広域化を踏まえ,平成19年に,議員立法による「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」が全会一致で成立した。この法律により,現場に最も近い行政機関である市町村が中心となって,様々な被害防止のための総合的な取組を行うことに対し支援措置が実施されることになった。
 平成24年には,同法の一部改正が行われ,対策の担い手確保や捕獲の一層の推進が図られることになったが,集中的かつ効果的な鳥獣被害防止対策を早急に講じる必要がある。
 よって国におかれては,鳥獣被害防止対策の充実を図るため,下記事項を速やかに実施されるよう強く要望する。

 

 地方自治体への財政支援を充実させるとともに,鳥獣被害防止総合対策交付金の予算を拡充すること。
 狩猟者の確保・育成に向けた対策の強化と支援を拡充すること。また,狩猟者の社会的役割に対する国民的理解と狩猟者の社会的地位の向上の促進を図ること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,農林水産大臣


認定こども園の認定権限等の移譲を求める意見書

(25年10月28日提出)

 平成24年8月に「子ども・子育て関連3法」が成立し,平成27年度からの「子ども・子育て支援新制度」(以下「新制度」という。)の運用開始に向け,現在,国の「子ども・子育て会議」において制度の詳細な検討がなされている。
 新制度においては,質の高い幼児期の学校教育・保育を総合的に提供するため,幼稚園と保育所の良さを併せ持つ「認定こども園」の普及を進めることとしており,従来の幼保連携型認定こども園については,学校教育法に基づく認可及び児童福祉法に基づく認可を一本化するとともに,その認可権限についても保育所と同様に,政令指定都市や中核市に移譲するなどの改正が行われたところである。
 しかしながら,幼稚園及び幼保連携型認定こども園以外の「認定こども園」については,これまでどおり都道府県にその認定権限が置かれたままであり,依然として幼稚園機能と保育園機能に係る権限の一元化は図られていない。
 幼児期における教育は,生涯にわたる人格形成の基礎を培ううえで非常に重要であり,認定基準の策定から給付,そして指導監督に至るまで一体的に行われるべきである。
 また,政令指定都市など都市部に保育所待機児童が集中している状況にも鑑みれば,幼稚園及び保育所のそれぞれの需要等を一元的に把握することにより,より効果的な待機児童対策を推進することにもつながることが期待できる。
 よって国におかれては,全ての認定こども園の認定権限等を政令指定都市等に移譲することを求める。
 
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,文部科学大臣,厚生労働大臣,内閣府特命担当大臣(少子化対策)


地域の中小企業へ更なる支援を求める意見書

(25年10月28日提出)

 日本経済の担い手は,地域に根差す中小企業である。京都市では,企業の99パーセント以上が中小企業であり,雇用の8割を生み出している。地域の経済や社会の活力の向上のためには,景気回復が進みつつある中だからこそ,地域の核となる中小企業に光を当て,発展させることがますます重要になってくる。
 よって国におかれては,地域の中小企業の発展のため,中小企業支援について,下記の施策を実施されるよう要望する。

 

 閣議決定された「中小企業憲章」の理念を実践し,我が国の雇用・産業の基盤である中小企業を積極的に支援すること。
 中小・ベンチャー企業の起業・創業・育成の支援体制強化を図るため,ものづくり指導者の養成・活用による技術・技能の継承を推進し,中小企業が人材確保・育成・定着を図るまで,一体的な支援を進めること。また,若年層に対する長期インターンシップを行う中小企業等の支援等を行うこと。
 中小企業を支援する税制(事業承継,印紙税,交際費課税等)の改善,中小企業の代表者本人以外の第三者連帯保証を禁止する,といった万全の体制で資金繰りを支援すること。
 「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」を的確に運用し,中小企業が円滑に消費税増税分を適正に転嫁することができるよう臨むこと。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,経済産業大臣,中小企業庁長官


福島原子力発電所の汚染水対策の強化を求める意見書
(25年10月28日提出)

 東日本大震災・福島第一原発の事故から2年7箇月余りが経過し,今なお29万人近くの方が避難生活を強いられ,福島県では5万人を超える方が県外での生活を余儀なくされている。
 復興庁による省庁横断的な取組や復興予算の拡充などの復興策の実施により,被災地からは「ようやく復興の歯車が回り始めた」との評価も聞こえてきた。復興の足取りを確かなものにするために,福島第一原発の汚染水の流出問題は,国が全面に出て,解決に取り組むべきである。
 国は,放射能汚染水の地下水への流入に対する抜本策の検討,汚染水貯蔵タンクの信頼性の向上,放射性物質の除去技術など最新の知見を生かした対策により,一日も早い抜本解決を目指すべきである。また,汚染水の環境への影響についても国内外の信頼が得られるよう,情報を分かりやすく丁寧に発信するとともに,漁業関係者や周辺住民の方々の不安の解消と風評被害の防止にも努めるべきである。
 安倍内閣総理大臣は,国会答弁において「東京電力任せではなく,国が全面に出て取り組む。予防的かつ重層的な対策を講じていく。」と述べている。
 よって国におかれては,汚染水問題の解決に向けた施策を強力に進めることを求める。
 
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,復興大臣,内閣府特命担当大臣(原子力防災),
内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償支援機構)


若い世代が安心して就労することができる環境等の整備を求める意見書

(25年10月28日提出)

 ライフスタイルの多様化や少子高齢化により,若い世代の働き方や暮らし方が変化している。非正規労働者や共働き世帯が増えた今,若い世代が本来望んでいる仕事と生活の調和が崩れ,理想と現実のギャップに悩む人が少なくない。
 なかでも,働く貧困層といわれるワーキングプアから抜け出せずに結婚を諦めざるを得ない若者の増加や,仕事と子育ての両立に悩む女性の増加,正規雇用でありながら過酷な労働環境で働き続けることができない若年労働市場の実態など,今の若い世代を取り巻く問題は多岐にわたり,年々深刻さを増している中,若い世代が安心して就労することができる環境の整備が求められている。
 よって国におかれては,若い世代が仕事と生活の調和を保ち,安心して働き続けることができる社会の実現を目指し,一層の取組を進めるため,下記の事項について適切に対策を講じるよう強く求める。

 

 世帯収入の増加に向けて,政・労・使による賃金の配分に関する協議を進めること。また,正規・非正規間の格差是正,子育て支援など,総合的な支援を行うとともに,最低賃金の引上げに向けた環境整備を進めること。
 労働環境が悪いために早期に離職する若者も依然として多いことから,若年労働者に劣悪な労務環境下で仕事を強いる企業に対して,違法の疑いがある場合等の立入調査の実施や悪質な場合の企業名の公表などを検討し,対策を強化すること。
 個人のライフスタイルに応じた多様な働き方を可能とするために,地域限定や労働時間限定の正社員など,多元的な働き方を普及・拡大する環境整備を進めるとともに,短時間正社員制度,テレワーク,在宅勤務などの導入を促進すること。
 仕事や子育て等に関する行政サービスについて,若者支援策がより有効に実施・活用されるよう,利用度や認知度の実態を踏まえ,必要な運用の改善や相談窓口等の周知,浸透等に努めること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣,内閣府特命担当大臣(少子化対策)


新聞への消費税の軽減税率の適用を求める意見書
(25年10月28日提出)

 新聞を含む文字文化は,米・水などと共に,日本の国を形作ってきた基礎的な財である。
 さらに,新聞は,その戸別配達網により国内外の多様な情報を,全国くまなく日々ほぼ同じ時刻に届け,国民の知る権利と議会制民主主義を下支えするとともに,文字文化の中軸の役割を果たしている。
 国土も狭く,資源も少ない我が国が世界有数の先進国となったのは,国民の伝統的な勤勉性と共に,新聞の普及と識字率の高さが,学力・技術力を支える役割を長く果たしてきたためであることは,広く認められるところである。
 また,新聞は,地方議会の動向をこれまで以上に詳細に示していく役割を担っていくと考えられる。そういった意味においても,その役割は,ますます重要である。
 ヨーロッパ諸国を見ても,多くの先進国が新聞への軽減税率措置を採っており,「新聞の軽減税率は常識」とされている。
 現在,深刻な活字離れが進む中で,書籍と共に新聞も購読率が低下傾向にあり,新聞を全く知らないで育つ子どもが増えるなど,次の世代の知的水準へ大きな影響を及ぼすものと深く憂慮されている。これに加え,今回の消費税率の引上げにより,新聞離れが更に加速するおそれがあると危惧する。
 よって国におかれては,消費税率が8パーセント,10パーセントいずれの段階においても,新聞への軽減税率を導入されるよう強く求める。
 
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,内閣府特命担当大臣(経済財政政策)


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