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 平成24年第4回定例会 【意見書・決議】

B型・C型肝炎ウイルス患者の救済に関する意見書

(24年10月26日提出)

 我が国には,B型・C型肝炎ウイルス患者が300〜370万人いると推定されている。その多くは,血液製剤の投与や輸血,集団予防接種における注射器の使い回しなどの医療行為による感染であり,国の責任による医原病とされている。
 これらのことに対する国の責任と,肝炎患者を救済する責務について明記された肝炎対策基本法が,既に平成22年1月に施行されている。加えて,病状の進行と高い医療費負担などに苦しむ肝炎患者を救済することを目的として,平成20年1月に「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法」(以下「特定血液製剤によるC型肝炎感染者に救済給付金を支給する特別措置法」という。)が成立し,続いて平成23年12月に「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が成立している。
 しかしながら,C型肝炎患者については,感染から発症までの年数が長いことから感染被害の証明が難しいこと,また,B型肝炎患者については,手続が複雑で時間を要することなどが救済に当たっての課題として指摘されている。
 よって国におかれては,B型肝炎・C型肝炎ウイルス患者の救済を進めるため,下記の事項について速やかな措置を講じるよう強く求める。
 肝炎対策基本法に基づき,患者救済に必要な法整備や予算化を進め,実効ある患者の救済策に取り組むこと。
 「特定血液製剤によるC型肝炎感染者に救済給付金を支給する特別措置法」に基づき,血液製剤による感染の可能性が高いC型肝炎感染者を広く救済する措置を講じること。
 「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」に基づき,対象者を速やかに救済できるようにすること。  
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


脱法ドラッグとりわけ脱法ハーブに対する早急な規制強化等を求める意見書

(24年10月26日提出)

 違法ドラッグによる健康被害が頻発していることから,2007年4月1日から,いわゆる脱法ドラッグを指定薬物として規制するための改正薬事法が施行された。指定薬物に指定されると,製造や輸入,販売が禁止となる。今年7月1日に9物質が追加指定され,現在,73物質が指定薬物に指定されている。
 しかしながら,近年,いわゆる脱法ハーブが出回ってきた。脱法ハーブは,指定薬物の成分を一部変えて植物片に混ぜたもので,お香,アロマなどと称して販売されている。脱法ハーブを吸引して救急搬送されるケースが相次ぎ,死亡した例も報告されている。また,脱法ハーブを吸引した者が乗用車を運転して暴走し,死亡事故も起きている。
 脱法ハーブを巡っては,化学構造を少し変化させることで法規制を擦り抜け,指定薬物になれば,また化学構造を少し変化させるという「いたちごっこ」を繰り返し,法規制が追いつかないのが実態である。厚労省が調査したところ,違法ドラッグ販売業者は,本年3月末時点で,29都道府県で389業者も存在し,京都府では7店舗,京都市内には4店舗存在している。
 脱法ハーブは,覚醒剤や麻薬等の乱用への入口になることが危惧されており,こうした状況を放置することは,看過できない。今後,青少年をはじめとした薬物乱用の拡大を防ぐためにも,早急な規制強化が急務の課題である。
 よって国におかれては,以下の点について早急に対応するよう強く求める。
 成分構造が類似していれば一括して薬事法の指定薬物として規制対象にできる包括指定を早急に導入すること。
 指定薬物が麻薬取締官による取締りの対象外であることを改め,指定薬物を発見した場合に収去ができるなど,法整備の強化を図ること。
 特に青少年や若者の乱用を防ぐため,薬物教育の徹底や各種団体への啓もう・啓発活動等に積極的に取り組むこと。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


気象事業の整備拡充を求める意見書

(24年10月26日提出)

 気象庁の事業目的は,気象や地震などを観測・監視し,観測の成果や現象推移の予測を適時・的確に広く周知することによって災害を未然に防ぎ,軽減させることにある。
 2005年に神戸で開かれた「国連防災世界会議」では,2004年にスマトラ沖で発生した大地震を教訓に「すべての国々が領域内の国民と財産を災害から守る第一義的な責任を持っている」との「兵庫宣言」が採択されている。
 しかし,気象庁の職員数や事業予算は年々減らされ,観測施設の維持管理や技術水準の確保も厳しい状況であり,特に,気象の観測・予測になくてはならない気象衛星の打上げにも巨額の費用が掛かり,予算を圧迫している。
 過去の自然災害の教訓から,注意報・警報などの防災情報を高度化し,活用していくためには,予報精度の向上にとどまらず,自然現象の確実な補足と防災関係機関への確実な情報の伝達,そして,利用者に対して十分な支援・指導ができることが必要である。さらに,地域の産業や日常生活に役立つ気象情報の提供も強化すべきであり,近年,国際的な関心を集めている地球環境問題についても,一層の体制強化が求められている。
 よって国におかれては,より精度の高いきめ細かな防災情報,暮らしや産業に密接に関わる気象情報を提供することができるよう,気象事業全般の基盤強化を図るよう強く求める。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,国土交通大臣


自治体における防災・減災のための事業に対する国の財政支援を求める意見書

(24年10月26日提出)

 地方自治体が所有・管理する社会資本(道路や橋りょう,上下水道等)の整備は,高度経済成長期の発展と共に,昭和40年代後半から加速した背景があり,現在,多くの社会資本が改築期(建設後30〜50年)を迎えている。
 社会資本は,生活の基盤であるだけでなく,災害時には住民の生命・財産を守る機能もあるが,近年の社会経済情勢による税収減少や社会保障関係経費の増加等による自治体財政の悪化から,防災・減災の強化はおろか,社会資本の計画的修繕や改築すら進まない状況にある。
 京都市では,防災・減災関連事業を精査し,今後4年間の総事業費として873億円の財政見通しを立て,本年度当初予算では,橋りょうの耐震化や老朽化対策などに16億円,上下水道施設の耐震化に83億円など,総額161億円を確保し,既に事業執行している。しかし,橋りょうの長寿命化,上下水道施設の耐震化,地下鉄施設の老朽化対策,学校の防災拠点化,住宅の耐震化など,今後インフラの老朽化対策として多額の費用が必要と見込まれる。
 地方自治体共通の課題である社会資本の経年劣化対策等の防災・減災のための事業について,重点的な予算配分を行い,地方負担額の軽減措置を講じるべきである。
 よって国におかれては,橋りょうや道路施設の長寿命化,上下水道等の老朽施設の更新,防災拠点となる庁舎等の耐震化等について,補助採択基準の緩和や補助率の引上げなどの国庫補助制度の拡充及び交付対象事業の範囲拡大等の財政支援の拡充を強く求める。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,国土交通大臣


中小企業の成長支援策の拡充を求める意見書

(24年10月26日提出)

 中小企業は,「経済」や「雇用」の要として非常に大きな役割を果たしている。
 しかしながら,我が国の経済環境は,長引くデフレ・円高に加え,原燃料の価格高騰,電気料金の引上げ,電力需給のひっ迫など,厳しい状況が続いており,中小企業は,柔軟な対応力,技術力,商品開発力等の優れた潜在力を持ちながらも,苦しい経営を余儀なくされている。
 本格的な経済成長への道を確立するためには,雇用の大多数を支え,日本経済の礎となっている中小企業の活性化を図る視点が重要であり,中小企業の成長は,日本の景気回復の重要な鍵といえる。そのため,中小企業がその潜在力を十分に発揮し,果敢に挑戦できるよう,あらゆる政策手段を総動員すべきである。
 京都市においても,未来創造型企業支援プロジェクトとしてベンチャー企業目利き委員会の運営やバイオシティ構想事業などを実施し,未来の日本を担う中小企業への支援を展開しているが,更なる支援が必要である。
 よって国におかれては,中小企業の重要な役割を踏まえ,事業環境の改善や経営力の強化等,中小企業の成長に資する施策の充実を図るよう,下記の点についてその実現を強く求める。
 環境,健康,医療など新たな成長分野で事業を取り組もうとする中小企業を支援するために,ベンチャー企業等への積極的な投資や経営支援の強化など,中小企業の成長支援策を拡充すること。
 地域の中小企業に雇用や仕事を生み出し,内需を創出する活性化策として,老朽化した社会インフラの修繕・補強など,必要な公共事業に対し,一定期間,集中的な投資を行うこと。
 電力の安定的な供給体制の構築を目指し,自家発電設備及び省エネルギー機器,とりわけデマンド監視機能やLED等
を普及促進するための支援措置を拡充すること。
 中小企業の将来性と事業の継続性を確保するために,学生・若者の雇用マッチング事業を地域単位で強化するなど,
優秀な若手人材の確保のための対策を講じること。 
   
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,経済産業大臣,中小企業庁長官


税制全体の抜本改革の確実な実施を求める意見書

(24年10月26日提出)

 社会保障と税の一体改革関連法案が修正可決されたが,所得税や資産課税等の見直しを含む税制全体の抜本改革については,今後検討を加えたうえで,必要な法制上の措置を講じることとされている。
 さらに,これまで政府においては,高齢社会,人口減少社会の中で,持続可能な社会保障の構築とそれに係る安定財源の確保など,経済社会の変化に対応した税制の構築に向けて,所得課税,法人課税,消費課税,資産課税等を含めた税制全般にわたる一体的な改革の必要性が議論されてきており,今後,税制の抜本改革を先送りすることなく確実に実施することが求められている。
 よって国におかれては,修正合意に盛り込まれた所得税の最高税率の引上げや,相続税・贈与税の見直しをはじめとする税制全体の抜本改革について,消費税の8パーセントへの税率引上げ前に必要な検討を加えるとともに,自動車取得税と自動車重量税についても,地方の財源に十分考慮しつつ,消費税との二重課税である取得税の廃止を含め,税制全体の抜本改革を断行するよう強く求める。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)

 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣


我が国の領土・主権の護持等に関する意見書

(24年10月26日提出)

 一昨年から,北方領土,竹島,尖閣諸島での我が国の主権を揺るがす事件が相次いで発生している。
 中国政府は,尖閣諸島周辺の我が国の領海に国家海洋局の監視船を侵入させ,また,反日デモを容認した結果,デモは暴徒化し,日本大使館への投石,日系企業に対する破壊・略奪行為が繰り返され,多くの在留邦人の生命と安全が脅かされる深刻な事態となった。
 これらの行為は,絶対に許されず,これまで築いてきた日中関係を根本から覆すものである。
 これまでの尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件,ロシア大統領の北方領土への不法上陸,韓国大統領の竹島への不法上陸,また,常軌を逸しているとしか言いようがない韓国大統領の天皇陛下に対する発言,そして,香港の民間活動家による尖閣諸島への不法上陸など,絶対に看過することはできない。
 よって国におかれては,我が国の領土・主権の護持及び在留邦人・日系企業の安全確保などに関し,次の事項について速やかに万全の措置を講じるよう強く求める。
 中国政府に対し,在留邦人・日系企業に対する徹底した安全の確保及び破壊行為により日系企業等が被った損害に対する賠償を強く求めること。
 我が国の領土・領海における主権を護持するための毅然とした対応の下,領土・領海に関する必要な法制度の整備や,海上保安庁等の体制強化を早急に行うこと。
 北方領土,竹島,尖閣諸島は,我が国固有の領土である。今後は,歴史的・国際法的根拠及び我が国の主張の正当性を,
広く国際社会に示す外交努力を行うこと。
   
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,外務大臣,国土交通大臣


沖縄県での米軍人による女性暴行致傷事件に関する決議

(24年10月26日提出)

 10月16日,沖縄県で女性暴行事件が発生し,米軍人2名が逮捕された。被疑者2名は,共謀のうえ,被害者女性に暴行を加えたとのことであり,断じて許すことはできず,強く抗議する。過去,米軍関係者による事件・事故の発生の度に,綱紀粛正や再発防止が求められてきたが,再発防止の取組は,機能していない。住民の我慢は,限界をはるかに超えている。
 本市会は,沖縄県民の苦痛を一日も早く取り除くためにも,下記事項を強く求める。
記 
 
 被害者や家族への謝罪と完全な補償をすること。
 加害者の厳正なる処罰をすること。
 米軍人・軍属等の徹底した綱紀粛正及び人権教育の在り方を見直すこと。
   
 以上,決議する。


衆議院の早期解散に関する決議

(24年10月26日提出)

 去る10月21日には,国家戦略担当大臣が,「年明けの解散は近いうちではない」と発言している。野田首相は,有力な閣僚のこのような発言を踏まえ,閣内不一致ということはあってはならないことである。
 現在,特例公債法案の成立が遅れており,このため,地方交付税の交付が延期されるなどの支障が生じており,このまま赤字国債が発行できなければ,国の財源が枯渇し,国民生活に甚大な打撃を与えることになる。
 また,尖閣諸島や竹島を巡る問題をはじめ,外交課題が相次ぐ中,適切な対処をしていくためにも,早期に国民の信を得た政権を確立する必要がある。「近いうちに」解散することを明言した政権では,諸外国から相手にされず,まともな外交交渉が望めないことは明らかである。
 よって野田首相は,早期に衆議院を解散するよう強く要望する。
   
 以上,決議する。

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