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 平成24年第1回定例会 【意見書・決議】

介護保険におけるショートステイの食費の1食単位での設定義務付けを求める意見書

(24年3月27日提出)

 介護保険における施設入所者やショートステイ利用者の食費及び居住費(滞在費)については,平成17年の制度改正で保険給付から外され,利用者と施設等との契約により利用者が負担することとなった。国は,ショートステイについては入所期間も短いことから,1食ごとに設定することが望ましいとしつつ,利用者と施設等との契約により定められる事項であることから,1食単位での設定を義務付けることまではしていない。
 そのため,多くの施設等が食費を1日単位で設定しており,そういった施設等では,利用者がショートステイの入所日や退所日などに,実際には食べていないにもかかわらず,1日分(3食分)の食費を負担しなければならなくなっている。
 また,利用者が負担する食費が低所得の方に過重な負担とならないよう,国が所得等に応じて設定した,1日当たりの食費の負担限度額を超える部分については,「補足給付」として介護保険から保険給付される。そのため,保険者である市町村としても,1日単位での設定の場合は,1食単位での設定の場合と比較すると,より多額の補足給付を支給しなければならないこととなっており,介護保険財政上も負担が生じている。
 このような状況の下,京都市においては,利用者本位の立場に立ち,また,保険給付費の節減の観点から,市内のショートステイ施設等に対し,食費の1食単位への見直しを要請する文書を送付し,個別に協力を依頼するという,他に例を見ない取組を行っているところである。
 しかしながら,本来,このような制度の見直しは,国において全国一律のルールとして行うべきである。
 よって国におかれては,ショートステイについて,1日単位での食費設定の施設等がなくなるよう,必要な措置を講じることを強く要望する。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


父子家庭支援策の拡充を求める意見書

(24年3月27日提出)

 父子家庭が年々増えており,多くの父子家庭も母子家庭同様,経済的に不安定で,子育て等でも多くの課題を抱えているが,父子家庭と母子家庭では,行政による支援の内容に大きな差がある。
 児童扶養手当法改正により,平成22年8月1日から,母子家庭の母を支給対象としていた児童扶養手当が,父子家庭の父にも支給されることとなった。しかし,このほかにも,母子家庭が受けられる行政による支援制度(就労支援,技能習得支援,福祉貸付金,自立支援給付金など)の多くが,父子家庭では受けられない。
 よって国におかれては,対象が「母子家庭」に限られている諸制度に関して,「父子家庭」も対象とするよう改善を行うとともに,下記の項目について速やかに実施するよう強く要望する。
 遺族基礎年金の父子家庭への拡充策として,死別の父子家庭の父においても支給対象とするとともに,父と子が共に暮らしていても子に遺族基礎年金が支給されるよう改正すること。
 母子寡婦福祉資金貸付金,高等技能訓練促進費等事業及び特定就職困難者雇用開発助成金の対象を父子世帯にも拡大すること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


介護保険制度の安定的な運営のための対応を求める意見書

(24年3月27日提出)

 平成12年度から始まった介護保険制度は,市民生活において着実に制度が定着,機能しており,今後,高齢化が進み,介護を必要とする高齢者の増加が見込まれる中で,必要不可欠な制度となっているとともに,高齢者ができる限り住み慣れた地域で暮らし続けられるようにするためには,更なる制度の充実が必要である。
 一方で,介護費用の増加に伴い介護保険料も上昇し,京都市における第5期の第1号被保険者の保険料基準額は月額5,440円となるなど,全国的に平均で5,000円を超える見込みであり,低所得者の保険料負担は厳しくなっている。また,サービスの大幅な増加に伴い,介護人材の不足が指摘されており,都市部を中心に必要な人材の確保が難しくなっている。
 今後も質の高いサービスを安定的に確保していくためには,介護職員の処遇改善が必要である。また,増大するサービス費用について,給付と負担のバランスをどのように確保していくのかという問題もある。
 これらは,喫緊の課題であり,例えば,今回の京都市における独自の保険料減額制度の拡充等,自治体独自での対応には限界があるため,国において的確に対応されることが必要である。
 さらに,今回の介護保険法改正においては,地域包括ケアを推進するための医療と介護の連携強化や,訪問介護における生活援助の時間区分の見直し等の報酬改定が行われたところであるが,今後とも,より効果的・効率的なサービスを提供できるよう,改正による効果等の検証や,利用者や利用の実態等を踏まえた継続的な見直しが必要である。
 よって国におかれては,これらを踏まえて,今後の介護保険制度の運営に当たり,下記の事項について確実に対応されるよう強く求める。
 介護サービスの増加に伴い上昇する介護保険料について,費用負担の在り方をはじめ,持続可能なものとなるよう,早急に検討すること。とりわけ,低所得者の保険料や利用料の負担について軽減策を強化すること。
 質の高い介護サービスが安定的に確保できるよう,引き続き,介護職員の処遇改善をはじめとして必要な対策を講じること。
 制度改正や介護報酬改定については,利用者や利用の実態を踏まえ,その効果や課題を的確に把握,検証したうえで,必要な見直しを適切に行うこと。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


若者雇用を巡るミスマッチ解消を求める意見書

(24年3月27日提出)

 2008年の金融危機以降,とりわけ若者の雇用は,厳しい状況が続いており,昨年の東日本大震災に加え,超円高にも見舞われ,更なる悪化が懸念される。
 日本は,技術立国として知られているが,少子高齢化の進展により担い手の育成が急務で,前途有望な若者たちに活躍の場が十分に確保されないことは,社会全体にとっても大きな損失である。
 さらに,長引く景気低迷は,若者の正社員への道を閉ざし,現役学生が安定を求めて大企業志向を強める一方,就職できなかった者は,職業能力向上の機会が著しく失われ,仕事の本質的な魅力に触れる機会も少なくなる。  
 このような状況の中,若者雇用の非正規化が進む要因の一つとして,「情報のミスマッチ」が挙げられる。それは,多くの中小企業がハローワークを通じて求人する一方,学生側は就職支援サイトを多用しているというミスマッチが発生していることである。また,中小企業の情報が乏しいために,それが学生の大企業志向を助長させ,雇用のミスマッチを生んでいるとも言える。
 よって国におかれては,若者の雇用を巡るミスマッチ解消のため,下記の項目を迅速かつ適切に講じるよう強く求める。
 新卒応援ハローワークの機能強化と中小企業に関する情報提供体制の充実を図ること。
 企業現場での実習(OJT)を行う「有期実習型訓練」を実施する中小企業に対する助成金制度を拡充すること。
 ジョブカフェ強化型事業や「ドリームマッチング・プロジェクト」の継続又は同様の取組の拡充を図り,学生と中小企業の接点を強化すること。
 地域の中小企業と関係団体が協力し,新入社員への基礎的な職業訓練・能力開発を一体的に実施するなど,中小企業への定着支援の充実を図ること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣,経済産業大臣,中小企業庁長官


戸別所得補償制度の見直し等,農業政策の立て直しを求める意見書

(24年3月27日提出)

 世界的な人口急増や開発途上国における生活水準の急激な向上に伴う世界的な食料争奪の時代は,目前に迫っている。我が国の食料自給率は,既に40パーセントを切り(平成22年度。カロリー換算),自給率向上に向けて国内の農地を最大限活用し,担い手が意欲を持って,消費者の需要に応えられるような食料の供給体制を整備することが求められている。  
 また,持続可能な農業を実現するためには,全国画一的な経営体系を押し付けることなく,地域の創意工夫による特色ある取組が重要である。
 民主党政権が行っている農業者戸別所得補償制度は,いまだ制度が固定化されず,内容的には政策効果に乏しいばらまき政策であり,農地集積が進まない等,多くの欠陥を抱えている。昨年の自民・公明・民主の三党合意では「政策効果の検証をもとに,必要な見直しを検討する」ことを約束したものの,政策効果を十分に検証することもなく,平成24年度予算に戸別所得補償関連経費6,900億円を計上したことは,現政権の真意を疑う。  
 よって国におかれては,早急に農業・農村の衰退を食い止め,農業政策の立て直しを図っていくためにも,下記の事項について実現を図るよう強く求める。
 地域の特性や実情に応じた水田活用が進むよう,制度・予算の両面から充実を図ること。
 政権交代直後に大幅に削減された農業農村整備事業及び強い農業づくり交付金などに十分な予算を復活すること。
 計画的な食料自給率の向上や農地の規模拡大など,目指すべき政策目標を明確にし,計画的に実現できるような予算編成・執行をすること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,農林水産大臣


介護保険料軽減に向け,国及び京都府に対し取組強化を求める決議

(24年3月27日提出)

 介護保険制度において,平成24年度から第5期となる介護保険事業計画の策定に当たり,現行の保険料が5,000円を超える状況となっている。高齢化に伴う給付の増加から,介護保険料の増加は一定程度やむを得ないものであるが,より一層サービスの充実を図るとともに,負担の軽減を図る努力が必要である。
 よって京都市においては,京都府とも連携し,国に対して国庫負担割合の引上げを求めるとともに,京都府に対しては,介護保険料軽減に資する交付金の更なる拡充を強く求めること。
 以上,決議する。


東日本大震災で発生したがれきの受入れに関する決議

(24年3月27日提出)

 2011年3月11日,マグニチュード9.0という世界最大級の地震に端を発した東日本大震災が発生し,東北地方をはじめ,東日本の広範囲にわたる地域が,地震とそれに続く津波や福島第一原発事故による放射能の影響など,我が国でかつてないほどの大きな被害を受けた。  
 この直後から京都市は,職員派遣,ヘリコプターの出動,処理技術の提供をはじめとする積極的な支援活動を現在も行っている。被災地の復興は,全ての国民の願いであるが,現在,その最大の障害になっているのが,がれきの処理である。  
 岩手,宮城及び福島の3県では約2,253万トンのがれきが発生し,そのうち処理された量は,僅か約7パーセントである。岩手県では通常の一般廃棄物の約11年分,宮城県では同様に約19年分に相当する量となっている。このがれきを速やかに処理することが,復興に向けた第一歩である。政府は,岩手県及び宮城県のがれきについて,全国の自治体に広域処理を呼び掛けているが,受入れが進んでいないのが現状である。  
 がれきの広域処理なくして,被災地の新たなまちづくりは進まない。震災の傷跡となったがれきが,いつまでも被災地に残っている状況では,真の復興があり得ないことは言うまでもない。  
 よって京都市会は,国の責任において,科学的な知見により放射能の影響を検証し,放射線量の測定等十分な体制を整え,処理費用を国が負担すること,また,安全な最終処分地を確保することを条件に,関西広域連合の示した基準を参考にして安全と判断される災害廃棄物の早期受入れを検討するよう,京都市に対して強く要請する。  
 なお,受入れに際しては,岩手県及び宮城県のがれきについて,運搬,焼却及び埋立ての情報を開示し,国及び京都市が市民への説明責任を履行し,地域住民に理解を求める努力をするべきである。
 以上,決議する。

技能労務職への職員の採用の再開に関する決議

(24年3月27日提出)

 平成18年8月,当時の桝本市長は,京都市職員の多数の不祥事を受け,市会における十分な議論を経て,「信頼回復と再生のための抜本改革大綱〜不祥事の根絶に向けて〜」を策定し,技能労務職への採用を当面凍結するなどの重い決断を下した。本市においては,市民への信頼回復のため,この改革大綱に基づいて様々な取組が行われてきた。  
 しかしながら,昨年秋,市長が,市会に対して十分に議論する機会を与えることなく,技能労務職への職員の採用を再開したことは,試行であるとはいえ,甚だ残念である。
 よって市長は,技能労務職の在り方や民間委託化をはじめとする技能労務職業務の再構築に関する方針において直轄業務として維持すべきと判断した2業務(ごみ収集,道路河川等維持管理)の今後の方向性については,改めて,市会における議論を経て,理解を得るなど,十分に説明責任を果たすよう強く求める。
 今後は,京都市人材活性化プラン及び京都市職員コンプライアンス推進指針の取組状況を定期的に市会に報告すること。
 以上,決議する。


京都市子ども医療費支給制度に関する決議

(24年3月27日提出)

 今回の京都市子ども医療費支給制度の拡充は,府市連携により中学校就学前まで1箇月3,000円の自己負担で受診が可能となり,子育て世代にとって厳しい社会経済情勢の中,大変喜ばしいことである。  
 そもそも,子ども医療費の負担軽減は,国において全国一律で措置されるべきものであるが,今回の拡充は,国の措置を待つことなく,子どもたちの命と健康を守り,子育て世代への幅広い支援へとつながるものであり,評価できる。  
 しかし,それでも家計が圧迫される家庭もあり,更なる制度拡充を期待する声があることも事実である。確かに京都市財政が厳しいことは理解するものの,今回のように1段ずつ計画的に制度拡充を図っていくことが必要である。
 京都市独自の努力として,例えば,現行制度の0歳から2歳の1医療機関1箇月200円を3歳まで適用するには,約2億円程度の予算が必要になるが,様々な制度の見直しや,子育て支援策の中でも公民格差解消における財源の確保をはじめ,京都市全体の中から財源を確保することによって,計画的に取り組めば,実現可能なものである。  
 また,国の措置がない状況では,子育て支援とするのか福祉制度とするのかという問題があるものの,児童手当同様に所得制限を掛けることを検討してでも,受診機会の多い低年齢層から支援の拡充を図る必要がある。
 よって京都市が下記の事項に積極的に取り組むよう求める。
 受診機会の多い低年齢層に対して,京都市独自の努力により,限られた財源を重点的に配分するなど,1年1年検証する中で,現実的かつ計画的な制度拡充に努めること。
 1箇月の通院分が3,000円を超える償還払い制度を見直し,速やかに高額療養費制度と同様に,3,000円までの窓口負担とすること。
 子ども医療費支給制度の拡充は,子どもの命を守るセーフティネットとして,また,子育て世代の負担軽減策として,国の責任において,全国一律の制度を創設するよう,国に求めること。
 以上,決議する。


原子力発電に依存しないエネルギー政策への転換と再生可能エネルギーの普及拡大に関する決議

(24年3月27日提出)

 昨年3月11日に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の深刻な事故は,これまで我が国の成長と繁栄を支えてきた原子力発電についての「安全神話」を根底から覆し,周辺地域の住民の生活や地域経済に対して甚大な被害をもたらしただけでなく,国民生活全般にも大きな影響を及ぼし,事故発生後1年を経過した今なお,収束や復興に向けた見通しすら立たない厳しい状況が続いている。
 本市から近い若狭湾には,多くの原子力発電所が集中立地しているが,ひとたび大事故が発生すれば,京都市民の生活や経済活動への影響は過酷なものとなることは明らかであり,原子力発電に依存しない,持続可能で安心安全な電力供給体制を1日も早く実現していく必要がある。  
 よって,第1に,京都市会としては,国や電力事業者に対して,当面は,既設の火力発電所等の活用による必要な供給力の確保と電力需要の低減に努めることを求めるとともに,必要最低限の原子力発電所の再稼働を行う場合であっても,原子力発電所の安全性の確保と立地地域の住民の同意を得ることを大前提とすることを強く望む。  
 第2に,国に対しては,原子力発電所のできる限り早期の全廃に向けて,エネルギー政策の抜本的な転換や再生可能エネルギーの利用拡大推進のために必要な助成措置,規制緩和等を講じるとともに,発電部門や電力小売部門の自由化を進めることを強く求める。  
 第3に,本市がエネルギーの大消費地であることを深く自覚し,市民,事業者等と一体となった徹底した省エネルギー対策や,再生可能エネルギーの普及拡大及び地産地消に向けた先駆的な取組について,最大限の支援を行うこととする。
 以上,決議する。


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