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 平成22年第4回定例会 【意見書・決議】

ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV−1)総合対策を求める意見書

(22年12月10日提出)

 ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV−1)は,致死率の高い「成人T細胞白血病(ATL)」や,進行性の歩行障害や排尿障害を伴う「HTLV−1関連脊髄症(HAM)」等を引き起こす。国内の感染者(キャリア)数は,100万人以上と推定され,B型肝炎やC型肝炎に匹敵する。毎年約1,000人以上がATLで命を落とし,HAM発症者は激痛や両足麻痺,排尿障害等に苦しんでいる。一度感染すると,現代の医学ではウイルスを排除することができず,いまだに根本的な治療法は確立されていない。
 現在の主な感染経路は,母乳を介して母親から子どもに感染する母子感染と性交渉による感染であり,そのうち母子感染が6割以上を占めている。このウイルスの特徴は,感染から発症までの潜伏期間が,ATLで40年から60年と長いことである。そのため,自分自身がキャリアであると知らずに子どもを母乳で育て,数年後に自身が発症して初めて我が子に感染させてしまったことを知らされるケースがある。平成22年10月6日,厚生労働省は,官邸に設置された「HTLV−1特命チーム」における決定を受け,HTLV−1抗体検査を妊婦健康診査の標準的な検査項目に追加し,妊婦健康診査臨時特例交付金に基づく公費負担の対象とできるよう通知し,この内容が補正予算に盛り込まれた。これにより,全国で感染拡大防止対策が実施される。今後は,国民への正しい知識の普及啓発等の総合的な対策の推進が不可欠である。 
 よって国におかれては,ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV−1)の感染拡大防止に必要な「HTLV−1総合対策」を推進するため,下記の項目について早急に実現するよう強く要望する。

 医療関係者や地域保健担当者を対象とした研修会を早急に実施すること。
 HTLV−1母子感染対策協議会を全都道府県に設置し,検査体制,保健指導・カウンセリング体制の整備を早急に図ること。
 感染者及び発症者の相談支援体制の充実と診療拠点病院の整備を推進すること。
4   発症予防や治療法に関する研究開発を大幅に推進すること。 
5   国民に対し,正しい知識の普及及び理解の促進を図ること。
6   発症者への支援及び福祉対策を推進すること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


脳脊髄液減少症の診断・治療の確立を求める意見書

(22年12月10日提出)

 脳脊髄液減少症は,交通事故やスポーツによる外傷等,身体への強い衝撃が原因で,脳脊髄液が漏れ,減少することによって引き起こされ,頭痛,めまい,耳鳴り,けん怠感等,多種多様な症状が複合的に現れるという特徴を持っている。
 本年4月,厚生労働省から,本症か否かの検査に関する費用は保険適用との事務連絡が出されたものの,本症の治療に有効であるブラッドパッチ療法についてはいまだ保険が適用されず,高額な医療費を負担することとなる患者及びその家族は,依然として厳しい環境に置かれている。
 平成19年度から開始された「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究」事業は,本年8月に症例数の中間目標である100症例の収集を達成した。今後は,収集した症例から基礎データをまとめ,診断基準を示すための作業を速やかに行い,本年度中に診断基準を定めるべきである。そして,来年度には,診療指針(ガイドライン)の策定及びブラッドパッチ療法の治療法としての確立を図り,早期に保険適用とするとともに,学校災害共済,労働者災害補償保険,自動車損害賠償責任保険等の対象とすべきである。
 よって国におかれては,脳脊髄液減少症の診断基準及び治療法の確立を早期に実現するよう,下記の項目の実施を強く求める。

 「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究」事業においては,本年度中に脳脊髄液減少症の診断基準を定めること。
 「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究」事業においては,来年度(平成23年度)に,ブラッドパッチ治療を含めた診療指針(ガイドライン)を策定し,「ブラッドパッチ療法(自家血硬膜外注入)」を脳脊髄液減少症の治療法として確立し,同療法については,早期に保険適用とすること。
 脳脊髄液減少症の治療(ブラッドパッチ療法等)を,災害共済給付制度,労働者災害補償保険及び自動車損害賠償責任保険等の対象に,速やかに加えること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


子ども手当財源の地方負担に反対する意見書

(22年12月10日提出)

 政府は,平成22年度から導入した子ども手当について,全額国庫負担で実施するとの方針を繰り返し表明してきたが,平成22年度予算では,「暫定措置」として地方負担約6,100億円が盛り込まれた。
 本来,全額国庫負担が原則だった子ども手当について,原口一博前総務大臣が国会答弁等において,地方負担を平成23年度以降は継続しないことを明確にしていたにもかかわらず,現政権は,来年度以降も地方負担を求める考えを示している。
 子育て支援は,地域の実情に応じ,地方が創意工夫を発揮できる分野を地方が担当すべきであり,子ども手当のような全国一律の現金給付については,国が担当し,全額を負担すべきである。
 よって,こうした内容について,地方との十分な協議もないままに,来年度予算でも地方負担を継続されることに対し,強く反対する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,厚生労働大臣


地方交付税の特別加算を廃止せず,拡充を求める意見書

(22年12月10日提出)

 財務省は,2011年度予算編成において総務省が要求している地方交付税の1兆4,850億円の特別加算について,廃止を目指すとしている。
 特別加算は,2009年度に,疲弊する地方財政に配慮して導入され,本来の交付税に加えて,2009年度は1兆円,2010年度は1兆4,850億円を支出している。
 政府は,今年6月に,財政運営戦略において「地方の一般財源の総額は2011年度から2013年度までの間は2010年度と同水準を確保する。」としたばかりであり,特別加算の廃止の方向は重大な問題である。
 この時期に廃止が実行されれば,本市の財政計画にも重大な影響を与え,目前に迫っている来年度予算案の編成にも困難が生じることは明らかである。
 本来,地方交付税は,地方自治体の財源保障である。ところが,本市においても,地方交付税などについて5年間で506億円の削減が行われ,財源不足の最大の要因になっている。
 よって国におかれては,厳しい地方財政に配慮し,地方交付税の特別加算を廃止しないよう強く求める。 

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣


「子ども・子育て新システム」に反対する意見書

(22年12月10日提出)

 現行の保育制度は,国や市町村が保育の実施義務を負うものと明確に位置付け,最低基準により全国どの地域においても保育が等しく保障され,保育料においても,保護者の所得格差が子どもたちの受ける保育の格差につながることのない「応能負担」を原則としている。
 現在,国においては,「子ども・子育て新システム」の具体的な仕組みの検討を行っているが,保育に関しては,保育の質の低下,保護者負担の増加及び保育従事者の処遇の低下を引き起こすおそれのある「保育の産業化」ではなく,「児童福祉」として子どもの健やかな育ちを保障し,子育て家庭の支援を積極的に行うとともに,貧困や格差に対するセーフティネットとしての機能も含め,制度の充実を図るべきである。
 また,「幼保一体化」については,保育所と幼稚園は,目的・機能はもとより,開所・開園日数,保育時間,利用の仕組み,入園料及び保育料の設定等に関して,根本的な理由によって違いがあり,歴史的に築き上げた文化を激変させる拙速な改革は,現場の不安と混乱を招くことになる。
 よって国におかれては,早急な「子ども・子育て新システム」の導入を見合わせ,子どもの健やかな育ちを保障し,安心して子どもを生み育て,働き続けられる「保育制度」の拡充を図るよう,下記の事項を強く求める。

 児童福祉法第24条に基づく公的保育制度を堅持・拡充すること。
 国は,市町村が責任を持って待機児童解消に向けた取組を行うことができるよう,必要な支援と財政措置を行うこと。
 保育の質の低下につながる保育所最低基準の廃止・引下げは行わず,抜本的に改善すること。
  民間保育所運営費の一般財源化は,行わないこと。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣,内閣府特命担当大臣(少子化対策)


地方財政の充実・強化を求める意見書

(22年12月10日提出)

 世界同時不況に端を発した深刻な経済状況は,その度合いを増しており,地域の雇用確保,社会保障の充実など,地域のセーフティネットとしての地方自治体が果たす役割は,ますます重要となっている。
 特に,地域経済の活性化と雇用対策の拡充が求められる中で,介護・福祉施策の充実,農林水産業の振興,クリーンエネルギーの開発などを雇用確保と結び付けるとともに,これらの政策分野における取組を充実・強化することが求められている。2010年度予算において,地方交付税が前年度比で1.1兆円増加されたことは,政府が地方交付税の充実という地方の要望にこたえたものであるが,来年度予算においても,本年度の予算規模を地方財政計画・地方交付税措置に継続的に取り入れるなどの大胆な予算措置が必要である。
 よって国におかれては,2011年度予算編成に当たり,地方財政に係る予算全体の安定確保に向けて,下記の対策を進めるよう強く求める。

 医療,福祉分野の人材確保をはじめとするセーフティネット対策の充実,農林水産業の再興,環境対策など,今後増大する財政需要を明確に取り入れ,2011年度地方財政計画を通じて地方交付税総額を確保すること。
 地方財源の充実・強化を図るため,国・地方の税収配分5対5を実現する税源移譲と,格差是正のための地方交付税の確保,地方消費税の充実,国の直轄事業負担金の見直しなど,抜本的な対策を進めること。
 地方自治体の自主的かつ安定的な財政運営に配慮し,その自立性が確保されるよう努めること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣


切れ目ない中小企業支援及び金融支援策を求める意見書

(22年12月10日提出)

 現在,中小企業を取り巻く環境は,消費の低迷,デフレに伴う低価格競争,急激な円高など,厳しい状況が続いており,中小企業景況調査(2010年7−9月期)によると,中小企業は,依然厳しい状況にある。それに対し,政府の経済対策は,逐次投入の手法となっており,景気回復への明確な方針を全く示すことはなく,「政策の予見性」が欠如していると言わざるを得ない。政府が行った為替介入もさしたる効果を生むことなく,このまま円高を放置することは,製造業を中心とした中小企業の減益を更に深刻化させ,一層の産業の空洞化が懸念される。
 このような状況であるにもかかわらず,政府は,「緊急保証制度」の延長を打ち切る方針とされ,「中小企業金融円滑化法」も時限を迎える。中小企業にとって最も重要な資金繰り支援を打ち切ることで資金が困窮すれば,事業が衰退し雇用に影響することとなる。また,成長分野に取り組む中小企業の支援を進めることは,雇用促進にとっても重要である。年末・年度末の中小企業の資金繰りに万全を期すとともに,本格的な景気回復に向けて切れ目のない対策が必要である。
 一方,来年度の税制改正において法人税率の引下げを行う場合,その財源確保のために租税特別措置を見直す結果として,中小企業が増税になってしまう可能性が指摘されている。法人税率の引下げの際は,中小企業の負担についても配慮しながら検討すべきである。
 よって国におかれては,下記の項目を含め,切れ目ない「中小企業支援」及び「金融支援策」を早急に決定し,実施するよう強く求める。

 中小企業の資金繰り支援策として,2010年度末(2011年3月)で期限切れとなる中小企業金融円滑化法と緊急保証制度を再延長し,保証枠を拡大すること。
 成長分野の事業に取り組もうとする中小企業を支援するため,官民ファンド(産業革新機構)を有効に活用し,リスクマネーの提供を積極的に行うこと。
 2011年度税制改正における法人税率の引下げに係る財源確保については,中小企業に配慮した検討を行い,租税特別措置の見直しによる増税は回避すること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,経済産業大臣,中小企業庁長官


北方領土問題に対し,き然とした外交姿勢を求める意見書

(22年12月10日提出)

 ロシアのメドベージェフ大統領が,11月1日,我が国固有の領土である北方四島の一つ,国後島を訪問した。
 北方領土が歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であることは明白であり,ロシアも1993年の「東京宣言」において,「北方四島の帰属に関する問題については,歴史的・法的事実に立脚し,両国間での合意の上,作成された諸文書及び法と正義の原則を基礎として解決する」との指針を確認している。
 旧ソ連時代を含め,ロシアの国家元首が北方領土を訪問したのは初めてであり,大統領の訪問は,こうした日露両国間の合意を無視し,ロシアによる四島の不法占拠を既成事実化しようとするものである。
 また,訪問の背景には,普天間飛行場移設問題や,中国人船長釈放問題など,民主党政権がもたらした外交史上例を見ない失態があることは明白であり,更なる外交上の失態は,我が国及びアジア太平洋地域の安全保障,経済発展に重大な影響を与える。
 よって国におかれては,今般のメドベージェフ大統領の北方領土訪問に厳重に抗議し,き然たる外交姿勢でロシアに対して臨むとともに,北方領土問題を早期解決に導くためにも,早急に外交戦略の立て直しを図るよう強く求める。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,外務大臣


政府に対し万全の危機管理体制の構築を求める意見書

(22年12月10日提出)

 11月23日に,北朝鮮により,韓国領大延坪島陸上に対して,卑劣な砲撃が行われた。
 砲撃は,朝鮮戦争休戦以来,初めて韓国領土に対して無差別に行われた攻撃であり,北東アジアの平和と安定にとって重大な影響を与えるばかりでなく,我が国の周辺事態にも発展しかねない。
 しかしながら,菅直人総理大臣は,砲撃発生にもかかわらず総理公邸での打合せを優先し,発生から2時間以上経過してから官邸入りした。仙谷由人官房長官は,砲撃発生から官邸入りまでに1時間程度を要しており,北澤俊美防衛大臣も,防衛省入りしたのは砲撃発生から2時間以上経過してからであった。国内でのテロ対策の責任者たる岡崎トミ子国家公安委員長は,登庁すらしていない。さらに,関係閣僚会議は砲撃発生から6時間以上経過してから行われ,国防に関する重大緊急事態への対処について審議する安全保障会議は開かれなかった。
 地方自治体は,周辺事態が発生すれば,周辺事態法に基づき,関係行政機関の求めに応じ,港湾及び空港の使用等について国に協力する。国家の危機管理は,国と地方自治体が有機的に連携,協力してなされるものであり,その司令塔たる内閣がこのような危機意識の薄い対応では,我が国の平和,安全,領土を守る体制として誠に心もとないと言わざるを得ない。
 よって国におかれては,万全の危機管理体制を構築するよう強く求める。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,防衛大臣,国家公安委員会委員長


北朝鮮の韓国・大延坪島砲撃に断固抗議する決議

(22年12月10日提出)

 去る11月23日,北朝鮮は,突如として韓国の大延坪島及びその周辺海域に向け,約170発もの砲撃を行った。その被害は,韓国軍の基地及び兵士のみならず,一般住民や市街地にも及んでいる。このような,まさに無差別とも呼べる砲撃は,言語道断の暴挙である。北朝鮮がたとえどのような言い訳をしようとも,一般住民を巻き込む武力による挑発は,決して許されない行為である。
 今回の砲撃により犠牲者が出たことについて,京都市会は,韓国政府及び同国民に対し,心から弔意を表し,被害を受けられた方の早期回復を祈念する。
 国際法及び南北の合意・朝鮮戦争の休戦協定は遵守されなければならず,今般の北朝鮮による韓国に対する砲撃は,国際社会としても看過できない挑発行為である。
 よって我が京都市会は,今般の北朝鮮の砲撃に対して厳重に抗議し,北朝鮮に対し,再びこのような暴挙を行わないよう強く望むものである。

 以上,決議する。


仙谷由人官房長官の発言に抗議する決議

(22年12月10日提出)

 11月18日に行われた参議院予算委員会において,仙谷由人官房長官は,自衛隊について「暴力装置」と発言した。
 「暴力装置」との発言は,マイナスイメージを強く国民に印象付けるもので,命懸けで日本の国土を守り,国際社会における我が国の地位を高める活動に黙々と取り組む現場の自衛官に対する冒とく以外の何物でもない。
 自衛官は,「事に臨んでは危険を顧みず,身をもつて責務の完遂に努め,もつて国民の負託にこたえる」として,国家の命令があればいかなる危険な任務にも赴き,国家と国民の負託にこたえることを宣誓している。その重要な命令は,政府の安全保障会議で審議され,最高指揮官たる内閣総理大臣から下される。安全保障会議の一員でもあり,最高指揮官たる内閣総理大臣を補佐する立場の内閣官房長官として,「自衛隊は暴力装置」との発言は,後に撤回し,自衛官に対して謝罪したとしても,あまりに不適切である。
 政権中枢にある内閣官房長官の認識がこのようなものでは,国防の礎となる現場の自衛官の士気高揚は到底望めず,国防に対する国民の信頼を大きく揺るがす事態を招いていると言わざるを得ない。
 よって京都市会は,仙谷官房長官の発言に厳重に抗議するとともに,同官房長官においては,問責決議結果を重く受け止めるべきである。

 以上,決議する。



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