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 平成22年第3回定例会 【意見書・決議】

B型肝炎問題の早期全面解決を求める意見書

(22年10月28日提出)

 B型肝炎訴訟は,国が法律によりすべての国民・住民に強制した集団予防接種における注射器の使い回しによって,多くのB型肝炎ウイルス感染被害者を生んだことについての国の責任を明らかにし,被害救済することを求める裁判である。
 この問題については,平成18年6月に,最高裁判所が国に法的責任があることを明白に認め,平成21年11月に成立した肝炎対策基本法においても,国自身が,集団予防接種により被害を出したことの責任を認めた。
 このような状況の中,現在,集団予防接種によるB型肝炎ウイルス感染被害の救済を求める訴訟が,全国10地方裁判所で係争中である。既に本年3月,札幌及び福岡の地方裁判所が相次いで和解勧告を行い,大阪地方裁判所も和解による解決を促している。しかしながら,国は和解協議には応じながらも,被害者の救済に向けた十分な対応に至っていない。
 B型肝炎は,慢性肝炎から肝硬変,肝がんに進行し,あるいは肝硬変を経ずして突然肝がんを発症することもある極めて深刻な病気である。原告のみならず,多くの肝炎患者は,今後の症状悪化に対する不安,多額の治療費の自己負担額,そしていわれなき差別・偏見に苦しみながら日々の生活をしている。
 よって国におかれては,下記事項を実現するよう強く要望する。

 集団予防接種による注射器の使い回しによって被害を受けた被害者が原告となったB型肝炎訴訟において,被害者に謝罪し,未発症者も含め,被害者全員を速やかに救済すること。
 肝炎患者にとって経済的負担の心配のない医療費助成制度の整備を進めること。
 肝炎患者に対する差別・偏見をなくすための正しい知識の啓発活動を進めること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


父親の育児休業取得促進を求める意見書

(22年10月28日提出)

 今年6月に,一部を除き,改正育児・介護休業法が施行された。今回の改正で,父母が共に育児休業を取得する場合,育児休業取得可能期間が延長され(パパ・ママ育休プラス),父親が妻の出産後8週間以内に育児休業を取得した場合には,特別の事情がなくても再度の育児休業を取得することが可能となった。また,労使協定により専業主婦の夫などを育児休業の対象外にできるという法律の規定を廃止し,すべての父親が必要に応じ育児休業を取得できるようになるなど,父親も子育てをしながら働くことができる環境が整備されてきている。
 しかし,平成21年度の男性の育児休業取得率は,女性の85.6パーセントに対し,1.72パーセントとまだまだ大きな開きがあり,他の先進諸国と比べても,日本の男性の育児時間は,最低水準となっている。
 勤労者世帯の過半数が共働きとなっている中で,女性だけが子育てや家事を行うのではなく,男性も積極的に子育てに参加することが求められる。また,今後,父親の育児休業の取得を促進していくことにより,母親の育児への不安解消や少子化問題の解消にもつながっていくものと思われる。さらに,女性の就業率も向上し,日本経済への効果も期待される。
 よって国におかれては,今回の改正内容を企業等に周知徹底し,社内等における育児休業を取得しやすい雰囲気づくりや働き方の見直しを促進するとともに,長時間労働の是正も含め,より一層育児休業取得促進のための環境整備に取り組んでいただくよう要望する。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


速やかに取調べの可視化(取調べ全過程の録画)の実現を求める意見書

(22年10月28日提出)

 取調べの可視化の主たる目的は,密室での取調べに伴い発生するえん罪を防止することにある。
 これを行うことで,捜査官の暴行,脅迫,利益誘導等による自白強要や虚偽自白と共に,氷見事件,志布志事件及び足利事件に代表されるように,現在も後を絶たないえん罪を防止し,被疑者及び被告人の人権保障を図らなければならない。
 このような見地から,取調べの可視化は,不可欠なものである。なぜなら,取調べをすべて録画することで,取調べの状況が検証可能となり,これにより初めて裁判における供述調書の任意性や信用性の判断を容易に,かつ,正確になし得るようになるからである。
 また,平成21年5月には,裁判員制度が開始された。この制度は,裁判を国民に分かりやすく身近にし,市民の日常感覚を司法に取り入れることで,司法への国民の理解と信頼を向上させることを目指している。
 この制度を最大限に生かすためにも,取調べの可視化によって,裁判で供述調書の任意性や信用性が争われたような場合でも,裁判員となる市民がその判断に窮することのないよう,適切な方策を講じなければならない。
 現在,検察庁では,裁判員裁判対象事件につき,検察官の裁量により取調べの一部の録画が行われ,また,警察庁においても,取調べの一部の録画が試行されており,裁判員裁判においては,一部の可視化が既に実施されている。
 よって国におかれては,録画による刑事事件の取調べの全過程の可視化を実現するよう強く要望する。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,法務大臣


「働く世代への大腸がん検診推進事業」実施を求める意見書

(22年10月28日提出)

 現在,政府は,来年度予算編成の中で,「元気な日本復活特別枠」として,「政策コンテスト」の実施などにより配分を決める,1兆円を相当程度に超える特別枠を設けており,厚生労働省が「働く世代への大腸がん検診推進事業」を提示している。
 この「大腸がん検診」は,市町村が40歳から60歳までの5歳刻みの方に対して,直接,自宅に「大腸がん検査キット」を送付し,その検査容器に少量の便を採取して検査するもので,国が2分の1を補助し,残りの2分の1は市町村負担を想定している。大腸がん罹患者が増えている現状からも,自宅に居ながら検診を受けることを可能とするこの支援事業は,実施すべきである。
 よって国におかれては,がん対策基本法を実効あらしめるためにも,今回の「働く世代への大腸がん検診推進事業」の予算を確保し,継続して実施できるよう,強く求める。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,厚生労働大臣


小沢一郎衆議院議員の国会証人喚問を求める意見書

(22年10月28日提出)

 小沢一郎衆議院議員の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る政治資金収支報告書虚偽記入事件で,東京第5検察審査会は,平成16年から平成17年分の政治資金規正法違反容疑で告発され,東京地検特捜部が不起訴とした小沢議員を,強制的に起訴すべきだとする「起訴議決」をした。
 同審査会は,その議決書において,「土地購入に充てた4億円の出所についての小沢氏の説明は,著しく不合理で信用できない。出所を明らかにしようとしないのは,虚偽記入の動機があったことを示している。」などと厳しく指摘している。
 政権与党民主党の幹事長という要職にあった小沢議員が,国民の判断により,法廷で刑事責任を問われる異例の事態となったことは,極めて遺憾である。
 また,小沢議員が刑事被告人になりながら政治活動を続けることは,国民の厳粛な負託を裏切るだけでなく,そのことにより国民の政治不信が一層増幅されることは必至である。
 加えて,小沢議員は,本事件に関し,検察当局が起訴しなかったのだから「潔白」と繰り返すのみで,これまで国会の場で一度も説明を行っていないことから,国民の前で自ら事件の真相や経緯を明確に説明する重大な責任がある。
 よって国におかれては,政治に対する国民の信頼回復を図るため,小沢議員の政治資金収支報告書虚偽記入事件について,国会証人喚問を求め,政治的・道義的責任を問い,徹底した全容解明を果たすよう強く求める。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣


米価下落への緊急対策を求める意見書

(22年10月28日提出)

 近年の米価は,生産コストを大幅に下回る水準にあり,全農等の新米に対する概算金が60キログラム当たり対前年比2,000円から3,000円も低下している。また,1俵当たり1,700円の戸別所得補償を背負った平成22年度産米が市場に流通し始め,米価が更に下落する可能性が高い。
 米価下落の原因は,米価下落と財政支出拡大の持続的連鎖が生じる不適切な農業政策にある。コメの生産による収益が過剰に期待されることから,農地の貸しはがし,貸し渋りが起こり,加えて,農業農村整備事業予算が約3分の1に縮減されたことと相まって,集落営農の促進や農業基盤整備が阻害されている現状は,これまで以上に看過できない。
 現下の政策をこのまま進めると,農家は所得の大幅減少,消費者は麦及び大豆の減産や安全な国産米を生産する農家の大幅な減少に直面し,日本の農業は,生産者にとっても消費者にとっても壊滅的な打撃を受けかねない。
 政府は,直ちにコメ,麦,大豆などの生産を促進する政策や,集落営農の促進,担い手の育成,コメの過剰在庫解消などの政策を強力に推し進めるべきである。
 よって国におかれては,現下の米価が下落している現状を真しに受け止め,コメの再生産を確保し,地域農業や地域経済を維持,発展させる観点から,現在の農政を抜本的に改め,政策転換を図るとともに,備蓄米の買入れを直ちに行うよう強く要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,農林水産大臣


我が国の尖閣諸島沖における中国漁船衝突事件に関する意見書

(22年10月28日提出)

 先般,9月7日,沖縄県尖閣諸島沖合の日本領海内で停船を命じられた中国漁船が,海上保安庁の巡視船に衝突する事件が発生し,後に,公務執行妨害の容疑で逮捕・勾留されていた中国漁船の船長を,政府の見解があいまいな状況の下,処分保留のまま釈放した。
 中国漁船の船長の釈放は,中国側からすれば,日本側に過失,非があったことを認めた結果として都合よく解釈されるおそれがあり,尖閣諸島は中国の領土であるとする主張に新たな根拠を与えかねない重大な事態を招いた政府の責任は,看過することができない。
 これは,民主党政府が領土に対する外交責任を放棄する形となり,極めて重大な問題であり,民主党政府の責任は大きい。
 現在,中国各地での「反日デモ」が相次ぎ,日本関連の店舗を襲うなどの暴力的行為が引き起こされていることは,誠に遺憾である。
 そもそも尖閣諸島は,1895年1月に,当時の日本政府が領有宣言をしているが,1971年12月までは中国政府からも異議が持ち出されていなかった。また,戦後の1953年1月,当時の中国政府も「人民日報」で尖閣諸島を日本の領土と紹介していた。まさに,尖閣諸島の領有権については,我が国固有の領土として歴史的にも国際法上も疑いのないところであり,同諸島を巡り解決すべき領有権の問題は存在していない。
 よって国におかれては,下記の事項を実現するよう強く要望する。

 「尖閣諸島は日本の固有の領土である。」との態度を明確に中国及び諸外国に示し,今後同様の事件が起こった際には,国内法に基づき厳正に対処すること。
 海上保安庁が撮影した衝突時のビデオを国民に公表するなど,事実関係を世界に明らかにすること。
 中国から日本への謝罪や賠償の要求には応じず,日本が被った損害を請求すること。
  尖閣諸島周辺の領海において,漁業権が,中国をはじめとした外国漁船の違法操業によって侵害されないようにすること。
5   中国政府に対する厳重抗議と再発防止策の申入れを行うとともに,大局観に立った対話を軸とする外交的努力をすること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,法務大臣,外務大臣,国土交通大臣


新たな経済対策を求める意見書

(22年10月28日提出)

 今般の急速な株価下落と円高は,地域経済に深刻な打撃を与えている。特に地域経済は,平成21年度第1次補正予算が執行停止され,今年度の公共事業予算も対前年度比マイナス18パーセントとなるなど,大幅な予算削減による弱体化が顕在化している。
 しかしながら,政府は,平成23年度予算について,各省の予算を一律1割削減する方針を打ち出していることから,「公共事業予算が来年度以降も削減されるのではないか。」といった懸念がある。
 国土交通省の来年度予算概算要求では,公共事業関係費は今年度と同額を要求しているが,深刻な不況に苦しむ地域経済・雇用を守るためには,これ以上の削減は,到底認められるものではない。むしろ,深刻な不況から一刻も早く抜け出すために,即効性のある事業を前倒しで行うなど,景気を刺激する政策を速やかに打ち出すべきである。
 よって国におかれては,地域経済の活性化に向けて,下記の政策を速やかに実行するよう求める。

 円高,デフレ脱却に向けて政府がき然たる意志を示し,日本銀行との適切かつ強固な協力体制を構築すること。
 将来性ある農地集積事業,スクールニューディール,地域医療,環境分野などの事業に集中的に投資し,企業による雇用や設備投資を促進すること。
 来年度予算における公共事業費を維持・拡充し,地域経済・雇用の下支えをすること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,内閣府特命担当大臣(経済財政政策),国家戦略担当大臣


リニア中央新幹線の京都ルート実現に関する決議

(22年10月28日提出)

 リニア中央新幹線については,平成39年の東京〜名古屋間,平成57年の名古屋〜大阪間の開業に向け,本年3月に国土交通省の交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会の下に中央新幹線小委員会が設置され,営業主体及び建設主体の指名並びに整備計画の決定が審議されている。その際,昭和48年の全国新幹線鉄道整備法に基づく基本計画である「東京都を起点として甲府市付近,名古屋市付近,奈良市付近を通過し終点を大阪市とする」整備ルートをベースに議論が進められており,このままでは,リニア中央新幹線は,本市に乗り入れしないことになってしまう。
 しかしながら,国立京都国際会館及び京都迎賓館を有し,国内はもとより世界中から5,000万人もの観光客が訪れる,日本を代表する国際文化観光都市である京都を通らないルートの設定は,我が国にとっても大きな損失となる。
 そのため,リニア中央新幹線の本市への乗り入れについては,本年5月及び9月の市会定例会において,代表質問で取り上げられたところである。また,昨年12月に京都経済同友会から提言された,本市に望む八つの緊急取組事項の一つにも挙げられている。このことを踏まえ,本市が,「国家戦略としての京都創生」を実現し,将来にわたって京都の都市格を維持,向上するとともに,新たに策定した本市観光振興計画を推進し,国家的課題として位置付けられている観光立国を実現するためにも,リニア中央新幹線の本市への乗り入れの実現は,本市のみならず日本にとっても極めて重要な取組である。
 よって本市会としても,市長をはじめ各関係団体と共に「京都ルート」の実現に向け,これまで以上に強力に取り組むこととする。

 以上,決議する。



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