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 平成21年第1回定例会 【意見書・決議】

肝炎対策のための基本法の制定を求める意見書

(21年3月19日提出)

 我が国におけるB型,C型肝炎ウイルスの患者数及び感染者数は300万人を超えており,国内最大の感染症としてウイルス性肝炎への抜本的対策が求められている。多くの患者は,輸血,血液製剤の投与,針又は筒を連続使用した集団予防接種等の医療行為により,肝炎ウイルスに感染したものである。その中には,医療・薬務・血液行政の過誤により感染した患者も含まれており,正に「医原病」と言える。
 B型,C型肝炎は,慢性肝炎から肝硬変,肝がんに進行する危険性の高い,深刻な病気である。肝硬変,肝がんの年間死亡者数は4万人を超え,その9割以上がB型,C型肝炎ウイルスに起因している。また,既に肝硬変,肝がんへと進行した患者は長期の療養に苦しみ,生活基盤を失うなど,経済的にも多くの困難に直面している。
 平成20年度から国の「新しい肝炎総合対策」(7か年計画)がスタートし,予算上の措置も行われているが,飽くまで計画にとどまるため,実施主体である都道府県によって施策に格差が生じている。適切なウイルス性肝炎対策を全国的規模で推進するためには,肝炎対策に係る基本理念や国と地方公共団体の責務を定めた基本法又は根拠法の制定が必要である。
 よって国におかれては,すべてのウイルス性肝炎患者の救済対策を全国的規模で等しく推進できるよう,肝炎対策のための基本法を早期に成立させることを強く要請するものである。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


細菌性髄膜炎等の重症感染症を予防するワクチンの
早期定期接種化を求める意見書


(21年3月19日提出)

 インフルエンザ菌bは,ヒブ(Hib=ヘモフィルスインフルエンザ菌b型)とも呼ばれ,小児の髄膜炎をはじめ,急性喉頭蓋炎,肺炎,敗血症,菌血症等の全身性重症感染症を引き起こす原因となっている。特に5歳未満の子供については,細菌性髄膜炎の原因の第1位がヒブで全体の約60パーセントを占め,第2位が肺炎球菌で約30パーセントを占めており,両者を合わせると,髄膜炎の原因の約90パーセントを超えている。
 細菌性髄膜炎を発症すると,約5パーセントが死亡し,症状が進行すると,けいれんや意識障害も現れ,約20パーセントにてんかん,発達の遅れ,難聴,麻ひ等の後遺症が残ると推測されている。また,髄膜炎は,初めは発熱やおう吐が主な症状であるため,初期診断が非常に難しく,早期治療が困難であるとともに,インフルエンザ菌又は肺炎球菌に起因する場合は,薬剤耐性を持つ耐性菌が増えているため,治療が困難となっている。
 こうした状況の下,ヒブや肺炎球菌による細菌性髄膜炎等から子供達を守るためには,ワクチンによる予防が最も効果的である。
 ヒブワクチンは,1998年にWHOが乳児への定期接種を勧告し,現在110箇国以上で接種されており,予防接種を実施した各国では,ヒブによる髄膜炎が激減し,医療費の削減効果も試算されている。また,副反応は軽微で,安全性が高いとも報告されている。
 我が国において,ヒブワクチンは,平成20年12月から販売され,任意接種が始まっているが,現在,年間供給量は25万人と少ない。また,標準で4回接種する必要があるところ,費用は1回7,000円から8,000円,4回の接種で約3万円前後と自己負担が大きく,接種を希望しても費用負担の問題から接種を受けられない状況が生じている。誰もが平等に接種を受けることができる定期接種の体制を構築した上で,ワクチンを安定供給する必要がある。
 また,肺炎球菌ワクチン(7価)は,肺炎球菌感染症のうち,菌血症,髄膜炎,急性中耳炎の多くに有効と言われており,乳幼児期に接種する効果が大きいことは,米国で証明されている。
 しかし,我が国において,肺炎球菌ワクチン(7価)は,現在,承認申請の段階であること
から,一日も早い承認が求められる。
 よって国におかれては,下記の項目について,早期に実現するよう強く要望する。
 速やかにヒブ重症感染症(髄膜炎,急性喉頭蓋炎,肺炎及び敗血症)を予防接種法による定期接種対象疾患(一類疾病)に位置付けること。
 肺炎球菌ワクチン(7価ワクチン)の早期承認のための措置を講じること。
 ワクチンの安定供給のための措置を講じること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣 


地上デジタル放送の更なる対策を求める意見書

(21年3月19日提出)

 平成23年7月の地上デジタル放送への全面移行に向けて,国の主導により対策が進められている。しかし,今年1月時点での全国の地上デジタルテレビ放送対応受信機の世帯普及率は,目標の約58パーセントに対し49.1パーセントとなっており,かなり進ちょくが遅れている状況である。
 現在本市は,地上デジタル放送受信対策として,国の補助制度を活用した山間地域等の地理的難視聴対策,本市の施設が原因で電波障害が発生している地域への対策,本市の施設内の対策などを移行期限に間に合うよう着実に進めている。
 ところが,まちなか地域における民間の建築物による電波障害の対策をはじめとして,地上デジタル放送への移行が困難な低所得世帯や高齢者世帯等への対応など,市民が地上デジタル放送を受信するための対策が遅れているのが現状である。このため,市民から本市に多くの相談が寄せられており,これらの課題に対する国の強力な対策が望まれる。
 今年2月,国はテレビ受信者支援センターを京都市内に設置し,受信相談の丁寧な対応,きめ細かな説明と訪問対応,受信状況の調査と把握,共聴施設のデジタル化の促進等に取り組む体制を整備された。しかし,人員配置をはじめとしたその体制はまだまだ不十分であり,京都府全域をカバーするのは極めて困難であると言わざるを得ない。市民の相談に迅速かつ円滑に対応できるようにするための体制の充実が強く望まれる。
 よって国におかれては,地上デジタル放送への全面移行について,アナログ放送停波まであと2年4箇月しか残されていない状況を踏まえ,これらの重要課題を十分に認識していただき,期限内にすべての国民が地上デジタル放送を受信できるような新たな対策を含め,強力に推進することを求めるものである。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣,経済産業大臣


「緑の社会」への構造改革を求める意見書

(21年3月19日提出)

 100年に一度と言われる経済危機の打開策として,各国政府は,今,環境・エネルギー分野への巨額の集中投資と,それによる雇用創出を目指す,いわゆる「グリーン・ニューディール」を選択し始めている。
 こうした世界的な動きの中で,日本政府も,環境分野を経済成長のけん引役とする「日本版グリーン・ニューディール」をまとめる方針を固め,具体化に着手した。
 我が国は,環境分野で最先端の技術を持っており,それを生かした大きな経済効果や雇用の創出が期待されている。経済危機の今こそ「緑の社会」へと大転換するチャンスととらえ,「日本版グリーン・ニューディール」を推進すべきである。
 そして,我が国が諸外国に先駆けて不況を克服し,低炭素社会・循環型社会・自然共生社会のモデルとなるような社会の在り方を示すべきと考える。
 よって国におかれては,下記の項目を実現するよう要望する。
 今後3年間で10兆円規模の環境分野への投資を行い,環境技術を駆使して環境産業の活性化を促すとともに,今後5年間で100兆円の市場規模,200万人超の雇用を実現すること。
 太陽光発電については,2020年までに10倍とする政府の導入量目標の倍増を検討し,例えば全小中学校への太陽光発電パネル設置等の大胆な取組を図ること。
 電気自動車等の次世代自動車の普及を急ぎ,5年後に100万台,2020年に新車販売の70パーセント超を目指すこと。併せて,温室効果ガス排出削減のため,公共交通機関の活性化に対する支援を大幅に拡充すること。
 省エネ住宅,ビル等の建設を大規模に促進するとともに,環境モデル都市の対象都市を拡大するなど,更なる国の支援を拡充すること。
 森林吸収量の目標として掲げる温室効果ガス排出削減3.8パーセントの実現に向けて,林業及び建設業との協働も行い,間伐,植林等の森林整備を進めるとともに,林業,造園,建設業等の関連業種で新たな雇用を創出すること。
 バイオ燃料事業を拡大強化し,その利活用によって地域の特性を生かした活性化を図り,バイオマスタウン300地区を早期に実現すること。
 エコ・ポイント事業(温暖化対策行動等に対してポイントを発行するもの)を拡充させるなど,国民生活部門における温室効果ガス排出削減のための活動を支援すること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,環境大臣


経済情勢悪化に対する更なる経済対策の拡充を求める意見書

(21年3月19日提出)

 現在国においては,平成20年度第1次・第2次補正予算と合わせて総額75兆円に及ぶ経済・景気対策のための平成21年度予算案及び関連法案を審議中である。この21年度予算関連法案のうち,税制関連法案には,住宅ローン減税,中小企業の法人税減税,自動車重量税と自動車取得税の減免等の総額1兆円規模の減税措置も盛り込まれており,一刻も早い成立が求められる。
 一方,現在の経済情勢は予算編成時より更に悪化しており,2月末に発表された本年1月の完全失業者数は277万人,完全失業率は4.1パーセント,有効求人倍率は0.67倍と悪化している。また,2月の倒産件数は前年同月比10.3パーセント増の1,318件と,9箇月連続前年同月比増であり,負債総額は前年同月比236.5パーセント増の約1兆2,200億円と,2月として戦後3番目の規模となっている。
 100年に一度の未曾有の経済危機であり,回復まで3年とも言われるこの期間に,理念,戦略性を持った切れ目のない政策を展開していくことが,今後の国民生活の安心,活力ある日本経済の再生にとって必要である。
 よって国におかれては,平成21年度予算案及び関連法案の一刻も早い成立を目指すとともに,総額75兆円の経済対策に連動した新たな経済対策,景気対策,安心の社会保障体制の構築を早急に展開することを強く要望するものである。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,内閣府特命担当大臣(経済財政政策)


地下鉄事業(公営企業)に対する国の支援を求める決議

(21年3月19日提出)

 政府の三位一体改革等による歳出削減策が続く中,とりわけ京都市は元々財政基盤がぜい弱なうえ,福祉等の義務的経費が増加している。また,政府による地方交付税が大幅に削減されたことなどから,本市の財政状況は極めて深刻な事態となっている。
 地域公共交通,とりわけ本市における地下鉄事業は,総額8,500億円の費用を要して整備した都市装置であり,貴重な市民の財産である。さらに,東京都や大阪市などと比べて都市の規模が小さいため,採算が取れる旅客数を確保することが極めて難しいといった要因が重なり,全国一厳しい財政状況となっている。
 この間,京都市交通事業ルネッサンスプランや地下鉄事業経営健全化計画に基づく経営健全化を進め,民間委託化も含めたコストの削減策にも取り組んでいるが,1日当たり約3,900万円の赤字が生じており,大幅な増収増客の取組が不可欠である。地下鉄は巨額なインフラであり,運賃収入だけで短期的に不良債務を解消することは難しい。運転資金の不足額(不良債務)は,一時的な資金の借入れで賄えるが,調達できる資金には限界があるため,不良債務を抑制する必要がある。
 地下鉄は高速道路と同様に社会資本であり,安心・安全なサービスの提供こそが交通事業において重要であることから,国の対策が不可欠である。本市においてもこれまで以上に国に支援を求めるとともに,本市会においても更に国からの地下鉄事業に対する財政支援を求めるものである。
 よって,以下の内容のより一層の充実が図られるよう国に対して強く要望することを決議する。
 経営健全化出資制度の継続及び経営健全化出資に対する財政措置
 高金利建設企業債の借換え制度の拡充
 資本費負担緩和債及び資本費平準化債の利払いに対する財政措置
 地下鉄施設の法定耐用年数の延長
 以上,決議する。

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