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 平成20年第3回定例会 【意見書・決議】

非食用事故米の不正規流通事件に関する意見書

(20年10月3日提出)

 一連の食品偽装問題に続いて発覚した今般の事故米の食用としての不正規流通事件は,調査が進むにつれて広がりを見せている。これは,産地や賞味期限に関する偽装ではなく,主食である米に関し,本来食用ではないものを流通機構に乗せたという,食の安全にかかわる極めて悪質な事案である。この事件が国民の食に対する信頼を決定的に揺るがし,善意の関係者にも多大な被害をもたらしたことなどは,極めて憂慮に堪えない。特に京都市内では,健康被害は報告されていないものの,市立中学校,保育園,老人福祉施設等で給食として使用され,それぞれの現場で混乱が生じている。このような事態を招いた業者の行為が断じて許せないことはもちろんであるが,事前にこれを防止できなかった農林水産省の責任も極めて重大であると断じざるを得ない。
 よって国におかれては,一刻も早い全容解明を行うとともに,再びこのような事案が生じることのないよう,下記の対策を直ちに講じ,安心・安全な食品流通システムを早期に確立されるよう強く要望する。
 流通経路の早期解明と事故米の回収に努め,国民の不安解消のため,食品安全委員会等,国の専門的機関により適切な時期に「安全宣言」を行うこと。
 徹底的な情報公開と国民に対する丁寧で分かりやすい説明に努め,省庁間,部局間の縦割り行政に陥ることなく,実効性のある検査体制の確立など,再発防止策を早急に講じること。
 農薬等に汚染された米穀等の輸入を禁止するとともに,事故米の一切の流通を禁止し,米の流通業者の登録制等により,流通機構の明確化,簡素化を図ること。
 不正取引を行う業者に対する厳罰を強化し,事故米とは知らずに購入した善意の業者に対する支援措置と風評被害等の防止に努めること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣,農林水産大臣,経済産業大臣,消費者行政推進担当大臣
 


安全で安心な医療の実現に向けた社会保障費の確保を求める意見書

(20年10月3日提出)

 我が国は,いつでも誰でも医療機関で受診ができる国民皆保険制度の下,世界最高水準の寿命や高い医療水準を実現してきた。しかし,近年は,急速な少子高齢化や厳しい財政状況等を背景に,社会保障費が削減され,救急医療体制の弱体化や産科,小児科をはじめとする医師不足が問題化するなど,地域医療が深刻な事態に直面している。
 このような状況の下,患者負担を軽減するとともに,医療従事者の不足と偏在を解消し,国民が安全な医療を安心して受けられるようにするためには,確固たる医療提供体制の再構築と,それに必要な社会保障費の確保が不可欠である。
 よって国におかれては,年間2,200億円の社会保障費削減方針を撤廃し,安全で安心な医療の提供に必要な財源を確保されるよう強く要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,厚生労働大臣


社会保険京都病院の存続・充実を求める意見書

(20年10月3日提出)

 社会保険京都病院は,昭和21年7月に健康保険鞍馬口病院として発足して以来,60年間,健康保険病院として,また北区唯一の総合病院として,年間に外来患者数約16万人,入院患者数約10万人の診療や健診活動を行っている。また,臨床研修指定病院として医師を育成し,生活習慣病予防健診実施機関として地域住民の健康管理を行い,救急告示病院として年間1,200人の患者を受け入れるなど,広く市民の命と健康を守り続ける医療機関として,地域において重要な役割を果たしている。
 ところが,本年9月30日の社会保険庁の廃止に伴い,社会保険病院及び厚生年金病院については,独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)に移管され,今後,地域医療の確保を図る見地から,個別の病院又は病院群として安定的な経営を図ることを基本に,適切な譲渡先(受け皿)を検討することとされており,社会保険京都病院の存続が危ぶまれる状況となっている。
 よって国におかれては,社会保険庁の廃止という状況の下でも,社会保険京都病院が今後も地域医療の充実のために役割を果たすことができるよう,下記の措置を講じるよう強く要請する。

 社会保険京都病院の存続に当たっては,救急告示病院,生活習慣病予防健診実施機関としての役割を含め,現行の病院事業を維持すること。
 社会保険京都病院が,京都市北部地域の中核病院として,広く地域住民の医療と福祉の向上を果たせるよう,その充実を図ること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


トンネルじん肺根絶の抜本的な対策に関する意見書

(20年10月3日提出)

 じん肺については,予防対策,健康管理の充実等,国においても各種の対策が講じられてきたところであるが,トンネル建設工事におけるじん肺の発生は,いまだ社会問題となっている。
 こうした中,全国11地裁において審理が進められてきたトンネルじん肺根絶訴訟の中で,東京,熊本,仙台,徳島及び松山の5地裁において,いずれも「国の規制権限行使義務」の不履行を違法とする司法判断が示された。
 また,これらの判決を受け,昨年6月には,トンネルじん肺根絶に関する集団訴訟原告団と国との間で,じん肺政策の抜本的転換を図ることを主な内容とする「合意書」が調印された。この合意の内容に基づき,係争中の4高裁11地裁すべてで和解による解決が図られたところである。
 特にトンネルじん肺は,そのほとんどが公共工事によって発症する職業病であることなどから,早期に解決が図られるべき重要な問題である。
 よって国におかれては,「トンネルじん肺防止対策に関する合意書」に基づき,引き続きトンネルじん肺根絶のための対策を講じるとともに,基金制度の創設など被害者救済のための制度の充実に努められるよう強く要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣,国土交通大臣


地方消費者行政の抜本的拡充及び法制度の整備等を求める意見書

(20年10月3日提出)

 近年,輸入冷凍餃子への毒物混入事件,こんにゃくゼリーによる窒息死事故や事故米の流通,一連の食品偽装表示事件,ガス湯沸かし器一酸化炭素中毒事故,シュレッダーによる指切断事故,英会話教室NOVA事件など,多くの分野で消費者の被害が次々と発生し,又は顕在化した。また,多重債務,クレジット,投資詐欺商法,架空請求,振り込め詐欺などの被害も後を絶たない状況にある。
 消費生活センター等の地方自治体の消費生活相談窓口は,消費者にとって身近で頼りになる被害救済手段であり,消費者被害相談の多くは全国の消費生活センターに寄せられている。その件数は,平成7年度が約27万件であったものが,平成18年度には約110万件に達し,平成7年度に比べ約4倍に増大している。
 しかしながら,自治体の地方消費者行政予算は,ピーク時の平成7年度には全国200億円だったものが,平成19年度は全国108億円に落ち込むなど,大幅に削減されている。そのため,地方の消費者行政については,十分な相談体制が採れない,あっせん率の低下,被害救済委員会が機能していない,被害情報集約による事業者規制権限の行使や被害予防等の制度改善機能が発揮できない,消費者啓発も十分行えないなど,機能不全に陥りかねない状況となっている。
 政府は,消費者・生活者重視への政策転換,消費者行政の強化の方針を打ち出した「消費者行政推進基本計画」を策定し,閣議決定を行ったが,真に消費者利益が守られるためには,地方消費者行政の充実強化が不可欠である。同計画においても,地方消費者行政を飛躍的に充実させることが必要であること,国において相当の財源確保に努めるべきこと等が提言されている。
 よって国におかれては,消費者主役の地方消費者行政を実現するため,以下のような施策ないし措置を講じるよう強く要請する。
 消費者の苦情相談が地方自治体の消費生活相談窓口で適切に助言,あっせん等により解決されるよう,消費生活センターの権限を法的に位置付けるとともに,消費者被害情報の集約体制を強化し,国と地方のネットワークを構築するなど,必要な法制度の整備をすること。
 地方消費者行政の体制・人員・予算を抜本的に拡充強化するための財政措置を採ること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣,農林水産大臣,経済産業大臣,消費者行政推進担当大臣


地方財政の充実・強化を求める意見書

(20年10月3日提出)

 国庫補助負担金の補助率の引下げや地方交付税の大幅な削減等により,地方は深刻な財政危機に直面し,地方間格差が拡大した。
 そうした中でも,地方分権の推進,少子長寿化の進行,産業と雇用の対策,地球規模や地域レベルの環境保全需要,災害や事故に対する安全対策など,地域の行政需要が増大しており,地方自治体が果たす役割はますます重要になっている。
 それに対し,政府が2008年度に創設した法人事業税の一部国税化と都市部の税収を活用した「地方再生対策費」は,いまだ十分とは言えない。また,地方交付税の大幅圧縮により,自治体の財政は硬直化し,さらに,自治体財政健全化法の下で,自治体に財政責任が押し付けられ,こうした事態は,医療,福祉,環境,ライフライン等の住民生活に直結する公共サービスの削減につながりかねない。
 このため,2009年度予算においては,深刻化する地域間格差の是正と公共サービスの充実に向け,地方財政圧縮を進める政策の転換を図り,地方税の充実強化や国が果たす地方財源の保障に必要な財源を確保することが重要である。
 よって国におかれては,住民に身近なところで政策や税金の使途が決定され,地方分権の理念に沿った自治体運営が行われるよう,地方財政の充実と強化を目指し,下記の取組を進めるよう強く求める。
 医療,福祉,環境,ライフライン等の地域公共サービス水準の確保と地方分権推進に向けて,国と地方の税収配分比5対5を実現する税源移譲や地方交付税の増額を図ること。
 自治体間の財政力格差は,地方交付税の財源保障機能や財政調整機能の強化により是正を図ること。
 地方財政の充実と強化に当たっては,地方自治体の意見を十分に踏まえた対処をすること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣
 


DV(ドメスティック・バイオレンス)対策に関する意見書

(20年10月3日提出)


 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(以下「DV防止法」という。)は,配偶者からの暴力に係る通報,相談,保護,自立支援等の体制を整備し,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図ることを目的として,2001年10月13日から施行された。
 また,2004年12月2日から,保護命令の対象範囲の拡大等を中心とした改正法が施行され,2008年1月11日から,市町村基本計画の策定,配偶者暴力相談支援センターに関する改正,保護命令制度の拡充及び裁判所から支援センターへの保護命令の発令に関する通知を柱とした改正法が施行された。
 DV(ドメスティック・バイオレンス)が社会問題化する中で,2度の法改正が,DVの被害者,その子供たち及び社会にかかわる様々なDV問題の解決に向けて大きく寄与してきたことは評価する。
 本市においても,男女共同参画センター「ウィングス京都」における相談窓口の運営は元より,2007年6月には,市内在住の満20歳以上の男女5,000人を対象としたアンケート調査を実施するなど,DVの実態把握とその根絶に努めてきたところである。
 しかしながら,DV問題が広域化する中では,都道府県や市町村での対応以上に,国の施策として更なる支援が求められている。
 よって国におかれては,DVに関する被害者救済及び自立支援に向けた諸課題を解決するため,下記の事項を含む施策を早急に実施するよう強く要望する。
 DV被害者の支援施設に係る運営補助制度を確立すること。
 学校転校手続や学用品の用意等が迅速に行われるようにするなど,子供の教育を受ける権利を保障するための支援体制を充実すること。
 DV被害者の更なる相談体制の充実や就労と自立に向けた長期的支援策を拡充すること。
 被害者の広域入所そのものを拒否する地方自治体がある現実を踏まえ,そうした姿勢を是正するなど,地域間格差を解消するための取組を強化すること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,内閣府特命担当大臣(男女共同参画担当)
 


太陽光発電システムの更なる普及促進を求める意見書

(20年10月3日提出)


 京都議定書約束期間(2008年から2012年まで)が始まり,地球温暖化問題への対応が人類共通の重要課題となる中,今年7月に開催された洞爺湖サミットでは,地球温暖化防止対策が主要テーマとして議論され,議長国である我が国においても,2050年に温室効果ガスの総排出量を60パーセントから80パーセント削減するという積極的な目標を掲げたところである。
 化石燃料によらない新エネルギーの中でも,太陽光発電は,天然資源に乏しい我が国において,広く普及が可能なエネルギーとして注目を集めている。
 「環境立国」を掲げる我が国は,太陽光発電のエネルギー導入量の増加に向けて,政府各省が連携を緊密に取りつつ,住宅分野,大規模電力供給に向けたメガソーラー分野,更なるコスト削減に向けた技術開発分野,普及促進のための情報発信・啓発分野の各分野において,支援策を打ち出す必要があると考える。
 よって国におかれては,太陽光発電システムの更なる普及促進に向け,下記の事項を実現するよう強く要望するものである。
 国による住宅用太陽光発電導入促進対策費補助金補助事業制度の再導入及び同事業予算の拡充を図ること。
 分譲集合住宅の購入者を対象とした太陽光発電システム取得控除制度や賃貸住宅オーナーの固定資産税の減税措置の導入など,集合住宅用の太陽光発電システムの導入支援策を推進すること。
 国主導による大規模太陽光発電システムの本格的導入及びそのための制度整備を進めること。
 導入コスト低減に係る技術開発促進策を推進すること。
 太陽光発電システムの普及促進のための情報発信及び啓発活動を推進すること。
 電気の買取りを電力会社に義務付ける法整備を進めること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,経済産業大臣,環境大臣

 


後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書

(20年10月3日提出)


 本年4月1日から,75歳以上の高齢者を「後期高齢者」と名付ける後期高齢者医療制度が始まった。この制度については,財政的観点から医療費を削ることに重点を置き,保険料を年金から天引きする一方,終末期医療や包括払いの導入等により,高齢者が十分な医療を受けにくくなることが強く懸念されてきた。その上,75歳以上の高齢者を年齢で区切り,74歳以下の国民と異なった制度の対象とすることに合理的な理由がないこと,低所得層において従来よりも保険料負担が高くなった例があること,制度加入者の保険料の伸び率が現役世代よりも高くなる可能性がある仕組みとなっていることなど,様々な問題点がある。国民の高齢期における医療が適切に確保され,国民が安心して安定した暮らしを営むためには,すべての国民が尊重される医療制度がなければならない。
 よって国におかれては,後期高齢者医療制度を直ちに廃止し,喫緊の措置として従前の老人保健制度に戻すことを強く要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣
 


「協同労働の協同組合法(仮称)」の速やかな制定を求める意見書

(20年10月3日提出)


 NPO,協同組合,ボランティア団体等の様々な非営利団体は,地域の課題を地域住民自ら解決することを目指し,事業を展開している。その一つである「協同労働の協同組合」は,働くことを通じて,人と人のつながりを取り戻し,コミュニティの再生を目指す活動を続けており,大変な注目を集めている。
 既に欧米では,労働者協同組合(ワーカーズコープ,ワーカーズコレクティブ)に関する法制度が整備されている。我が国でも,「協同労働の協同組合」の法制度を求める取組が広がり,8,000を超える団体がこの法制度化に賛同している。また,国会でも,超党派の議員連盟が立ち上げられるなど,法制化の検討が始まっている。
 誰もが希望と誇りを持って働く,仕事を通じて安心と豊かさを実感できるコミュニティを創る,人とのつながりや社会とのつながりを感じる,こうした働き方を目指す「協同労働の協同組合」は,市民事業による市民主体のまちづくりを創造するものである。
 現在のところ,この「協同労働の協同組合」には法的根拠がない。
 よって国におかれては,社会的な理解が十分に広がり,また団体として入札や契約の行為を行うことができ,社会保障の負担が個人に掛からないようにすることを含めた「協同労働の協同組合法」を速やかに制定するよう強く要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣,経済産業大臣





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