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 平成20年第1回定例会 【意見書・決議】

海上自衛隊イージス艦と漁船との衝突事故に関する意見書

(20年2月29日提出)

 海上自衛隊舞鶴基地に配備されている最新鋭イージス艦「あたご」が,去る2月19日未明,千葉県の新勝浦市漁協所属の漁船「清徳丸」と野島崎沖で衝突した。漁船は大破し,その乗組員2名については行方不明となっている。
 現在,海上自衛隊と海上保安庁により,捜索活動と共に事故原因の調査が進められているが,一部報道で明らかになった,イージス艦の衝突前の回避行動や衝突後の対応などは,自衛隊にとって国民の信頼を大きく失いかねないものとなっている。
 周囲を海に囲まれた我が国にとって,日本近海を航行する漁業,海運船舶と乗船者の安全・安心の確保は不可欠のものであり,海上自衛隊艦艇にとっても当然の使命である。
 よって国におかれては,行方不明者の捜索に全力を挙げるとともに,今回の事故原因を徹底的に究明し,再発防止に向けた万全の安全対策を早急に講じるよう強く求めるものである。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,防衛大臣


「農地・水・環境保全向上対策事業」対象区域の拡大に係る意見書

(20年3月25日提出)

 京都市内の市街化区域には828ヘクタールの農地が存在し,そのうち85.6パーセントに当たる709ヘクタールが生産緑地地区の指定を受けている。1200年の歴史と伝統を受け継ぐ京野菜に代表される生産性の高い本市の農業は,この生産緑地地区に指定された農地を中心に展開されている。
 また,「安らぎあるくらし」の実現を目指す本市において,生産緑地地区指定農地は,市民に新鮮で安心・安全な農作物を提供する場としてだけではなく,都市の中の緑地として,潤いのある生活空間や災害時の防災空間を住民に提供する役割も担っているところであり,将来にわたって,これを確保し,存続させていくことは,非常に重要なことである。
 しかしながら,生産緑地を中心とした都市農業においても,農業者の高齢化や減少,都市住民との混住化に伴い,農地,農業用水等の農業生産基盤の適切な維持管理が年々困難になってきている。
 そうした中,本年度から農業振興地域において実施されている「農地・水・環境保全向上対策」は,農地や水路,農道等の維持保全活動を地域ぐるみで推進することを目的としており,本市においても15の農村地域でその取組が始まり,農業生産基盤の維持や農村景観,環境の保全等の効果が大いに期待されているところである。
 よって国におかれては,都市農業環境の良好な保全と質的向上を図り,都市住民と共存する農業を推進することを目的として,この「農地・水・環境保全向上対策」に取り組むことができるよう,その対象地域の拡大を強く求める。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,農林水産大臣


福祉・介護の人材確保と待遇改善を求める意見書

(20年3月25日提出)

 福祉・介護サービスの質を維持,向上させるには,事業の安定的かつ効率的な経営と福祉・介護の現場で働く質の高い職員の確保と育成が不可欠である。
 しかしながら,福祉・介護労働者は,仕事内容が困難な割には,全労働者の平均賃金と比較して賃金水準が低く,世帯の生計を支えていくことが難しいとの不安があるなど,業務に対する社会的評価が低いことに対する不満も相まって,求職の減少や,意欲があっても離職する状況が見られ,常態的な人手不足は一刻の猶予もない切実な問題となっている。
 さらに,今後,介護や生活支援を必要とする高齢者が急増することから,介護従事者の必要数は,ますます膨らむものと見込まれている。
 このような状況の下,総合的な福祉・介護の人材確保対策を図ることは,喫緊の課題である。
 よって国におかれては,下記の事項について早急に対策を講じられるよう強く要望する。
 次期介護報酬の改定に当たっては,介護職員等の給与水準の向上を図るとともに,施設等の経営実態を踏まえた適切な介護報酬の設定を行うこと。
 障害福祉,児童福祉の分野においても,福祉人材のキャリアや能力に見合った給与体系の構築,実態に即した職員配置ができるよう,報酬等の見直しや職員配置基準の見直しを行うこと。
 福祉人材を確保するために,介護福祉士等の資格を有するものの現在就業していない者等の実態調査を早急に行い,潜在的有資格者の再就業等の支援を行うこと。
 福祉人材確保指針を具体化し,労働条件の改善や職員の資質向上に取り組む事業者への支援を拡充すること。とりわけ,小規模事業所などにおける職場定着のための取組支援や労働時間短縮のための事務負担軽減策,更には事業所の労働条件等労働環境に関する情報開示など福祉・介護労働者の待遇改善のための総合的な取組を進めること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


銃犯罪の撲滅を求める意見書

(20年3月25日提出)

 愛知県の拳銃発砲立てこもり事件や,長崎県のスポーツクラブでの散弾銃乱射事件など,銃器を使用した犯罪が全国で多発し,大きな問題となっている。これら銃犯罪のまん延は,市民の平穏な生活を脅かすものであり,断じて許すことはできない。
 よって国におかれては,このような犯罪の多発は,治安に係る危機的な事態であると重く受け止め,銃犯罪の撲滅のために,下記の施策について取り組むよう要請する。
 銃を使用した犯罪の発生に際しては,市民生活の安全に係る重大な事態であると受け止め,徹底的な捜査を行うとともに,再発防止策を講じること。
 猟銃やスポーツ銃等の合法銃の所持については,所持許可申請における手続を厳格に行うとともに,銃や実弾の使用及び保管状況の把握を徹底して行うこと。また,銃の所持許可を弾力的に取り消すことができるよう努めること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,国家公安委員会委員長,警察庁長官


「バイオマス推進基本法」(仮称)の制定を求める意見書

(20年3月25日提出)

 昨年,IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が発表した「第4次評価報告書」は,地球の温暖化について,引き続き石油などの化石燃料に依存していけば,今世紀末には平均気温は4.0度(2.4〜6.4度)上がると予測し,今後,人間の存在基盤が著しく脅かされるおそれがあるとして,その対策の緊急性を訴えるとともに,各国政府がより強力な対策を講じるよう警鐘を鳴らしている。
 この対策の大きな鍵を握る温室効果ガスの削減について,昨年12月,インドネシアのバリ島で開催されたCOP13(国連気候変動枠組条約第13回締約国会議)では,2009年末の妥結を目指して,ポスト京都議定書の枠組みに関して交渉を開始することで合意が得られた。特に日本は,今年,この交渉の進展に重要な役割を持つ北海道洞爺湖サミットの議長国を務めるものであり,世界の温暖化対策,特に京都議定書を批准していない米国,数値約束のない中国,インドなども含め,すべての主要排出国が参加する新たな枠組みづくりをリードする使命がある。
 そのためにも,自らが確固とした削減政策と中長期の排出量削減目標を示す必要があり,再生可能エネルギーの導入促進と省エネルギー対策によって,「低炭素,循環型社会」への移行を図る道標を示すべきである。
 脱石油社会に向けて鍵を握っているのが,代替燃料としてのバイオマス燃料である。
 よって国におかれては,現在,政府が進める「バイオマス・ニッポン総合戦略」の下,石油産業社会に替わる「バイオマス産業社会」をも展望し,食糧不足の問題が起こらないよう,日本を挙げてバイオマス活用の推進を図るために「バイオマス推進基本法」(仮称)を制定すべきである。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,農林水産大臣,環境大臣


中小企業経営支援対策の一層強化を求める意見書

(20年3月25日提出)

 原油・原材料の価格がオイルショック以来の記録的な高価格となる一方,親事業者への納入価格及び公共事業体の落札価格は低迷を続けるなど,「下請けいじめ」,「低価格入札」が横行し,中小企業を取り巻く経営環境には厳しいものがある。
 こうした状況にかんがみ,昨年12月,福田総理は,「原油高騰・下請け中小企業に関する緊急対策関係閣僚会議」を2回開催し,関係省庁に対して,原油高騰の影響を受ける中小企業に所要の緊急対策を指示したところである。
 深刻な影響を被る中小企業に対する政府の措置について,今回の緊急措置が場当たり的な対策に終始しないよう,今後は,中小企業における金融支援策の強化や経営指導を効果的に行う相談窓口体制の構築など,中小企業の経営改善に対して一段と踏み込んだ対策を講じることが必要である。
 よって国におかれては,我が国企業の99パーセントを占め,日本経済を下支えする中小企業が,健全な経営環境を取り戻し,地域経済の発展に寄与するため,中小企業対策の一層の強化を図るよう,下記の事項について強く要望する。
 中小・小規模企業者の金融支援をトータルに行うための「仮称・中小企業資金繰り円滑化法」を早期に制定すること。
 各省庁所管の下に数多くある中小企業相談窓口を一本化すること。
 公正な取引を実現するため,下請代金支払遅延等防止法を厳格に運用すること。
 下請適正取引等の推進のためのガイドラインの周知徹底を図ること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,経済産業大臣,特命担当大臣(経済財政政策),中小企業庁長官


温室効果ガス排出量10パーセント削減目標達成に関する決議

(20年3月25日提出)

  本市は,COP3開催都市として地球温暖化防止への積極的な取組を進める意思表示から,温室効果ガス排出量を2010年までに1990年レベルから10パーセント削減することを公約し,市民の協力を得る中で,様々な取組を進めてきた。
 しかしながら,2004年時点では1.6パーセントの削減にとどまり,削減目標である10パーセントとは8.4パーセントものかい離がある。民生・家庭部門,民生・業務部門の削減が大きな課題となる中,削減目標の達成には,本市としても相当の覚悟と努力が必要である。もし,不十分な取組により削減目標を達成できなかったときには,「Do you Kyoto?」が環境への高い意識を表す言葉として環境問題関係者で使われている現状からも,国内のみならず世界中で本市の評価を落としかねない状況にある。
 そのため,2010年までの温室効果ガス排出量10パーセント削減は,市民にとっても大きな負担を伴う大作業であるが,更なる市民への啓発に努め,行政,議会,市民及び事業者が一致団結し,あらゆる手段を講じて取り組むべきである。

 以上,決議する。


職員不祥事を根絶する決議

(20年3月25日提出)

 平成18年度は,職員の覚せい剤使用事件,自動現金支払機をゴルフクラブで損壊した窃盗未遂事件などにより,本市は逮捕者14名,懲戒免職者20名を出す異常な事態に陥り,市民の市役所に対する信頼も地に堕ちたと言わざるを得なかった。
 それを受け,京都市会においても事態を重大に受け止め,臨時市会や連合審査会の開催,更には特別委員会の設置により,原因の究明と再発防止のために論議してきたところである。
 その中で,本市は,「信頼回復と再生のための抜本改革大綱」を発表し,不祥事を抑止する仕組みを整え,意識,行動面での改革を進める一方で,服喪休暇等の不正取得に関する調査を徹底的に行うなど,市長の強い決意の下,これまでにたまった「膿み」を出し切る取組を強力に推進してきた。その結果,逮捕者や懲戒免職者数が激減するとともに,病気休務に関する基準を定めた結果,安易に病気休務を取得する者が減少している。
 このような中,門川市長が就任され,1年以内の不祥事根絶を目指して,市民の目線,感覚が取り入れられる仕組みの構築や,分限処分の強化など,新たな方針をもって取組を始められたところである。
 しかしながら,今般,勤務時間中の中抜け,事業所駐車場の私的使用,更には幹部職員による中抜けが明らかになったことを見ると,「大綱」でも原因の一つとして挙げられている「勤務実態や職場環境の甘さ」が依然としてあり,服務規律と遵法意識の徹底された組織風土の定着については,いまだ道半ばと言わざるを得ない。
 議会としても,市長と市民との連携を一層深め,職員不祥事の根絶に向け,努力する決意である。
 よって,門川市長におかれては,「大綱」の完遂はもとより,市政のあらゆる面において,1年以内に不祥事を根絶し,市民の信頼回復に向け,京都市役所改革を断行すること。

 以上,決議する。


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