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摂食障害(拒食症と過食症)

概略

摂食障害とは、単に食事が摂れなくなる(拒食)や食べすぎてしまう(過食)だけの病気ではありません。背後には「痩せていたい」「今の自分はまだ太っている」という考えに強くとらわれ、食事に対するこだわりが生まれ、結果として拒食、過食、自己誘発嘔吐、下剤などの乱用という行動に至る病気です。

*自己誘発嘔吐:自分で喉に手を突っ込んで嘔吐すること

「痩せていたい」という考えにこだわってしまい、身体を痛めつけてしまうほど痩せてしまう背景は、単なるダイエット願望だけではないと考えられています。家族や友人とのコミュニケーションがうまくいかないことが積み重なったり、進路や将来のことなどを考えるときに非常にストレスが強くなったりして、「自分に自信がない。痩せていれば自信がもてる。」「痩せていたら(将来のことは)何とかなるに違いない。」のような考えが当事者にとっては唯一の解決策と錯覚してしまうことが背景にあると考えられます。

過食症においても、背景に「痩せたい」という痩せ願望がありますが、「食べたい」あるいは「過食後に自己誘発嘔吐をする」ことが目的化して過食が習慣化していきます。極端な痩せがない場合もありますが、無理に嘔吐をすることで、体内の体液バランスが崩れ手足に力が入りにくくなり、場合によっては心臓の働きに影響を及ぼすことがあります。最初の悩みは「痩せ」や「食べ物」のことで、中には「常に頭が食べ物のことで占拠されてつらい」と訴える方もいらっしゃいますが、症状が落ち着いてゆっくり考えられるようになると、やはり対人関係の問題やどうやって社会に溶け込んだら良いのかという問題が根底にあることが分かってきます。

すでに触れたように摂食障害は痩せ、自己誘発嘔吐、下剤の乱用による身体の問題があって、さらに「食べ物へのこだわり」「痩せ願望」そして対人関係や社会とのつながりの問題がからんだ複雑な病気です。また、思春期に発症することが多く、心身両面にわたって将来に大きな影響が出る病気です。

《知っていますか? 痩せ礼賛社会への警鐘》

現代社会においては「痩せている女性はかわいい」とか「痩せは美しい」という痩せを礼賛する価値観が蔓延しています。それを代表するのが流行の先端をいくファッションモデルではないでしょうか?しかし、2006年にモデルが過度の痩せのために若くして死亡、「痩せすぎモデル」が問題化しました。その後、海外のファッション界ではモデルのBMIや年齢に一定の規制を導入したり、健康的な食事や運動を普及するなどの取り組みが始まっています。

BMI; Body Mass Index 体重(kg)÷ 身長(m)2

BMI 17.5 以下を病的痩せと定義している

主な症状

身体の症状

  • 異常な痩せ(BMI 17.5以下)
  • 無月経(初経が来ないのも含みます)
  • 低血圧・不整脈
  • 低体温(寒がり)・冷え
  • むくみ・便秘(自己誘発嘔吐による)吐きだこ・虫歯・電解質異常

こころの症状

  • 痩せていることを認めない
  • 異常に痩せているのに適切な食事を意図的に摂らない
  • 異常に痩せているのに過剰に運動をする
  • 異常に痩せているのに太っていると感じる
  • 食べ物の選り好み 一人で食事をする
  • 食べ物のことになると感情的になる
  • 下剤・利尿剤の乱用、抗不安薬への依存
  • 万引き・リストカット
  • 社会不安・対人緊張

治療

まずは身体面の回復が肝要です。痩せの程度が重症だと思考力が低下し、自分の悩みに向き合って解決策を見出すことはできません。そればかりか、痩せへのこだわりや食べ物への拒否感が強く治療を拒むことも稀ではありません。心配な場合はかかりつけの内科で検査を受けましょう。
痩せてはいるけど、緊急に内科的な治療が必要でない場合は、心療内科か精神科を受診してください。ご本人が受診を嫌がる場合、ご家族をはじめご本人の様子を詳しく知る人が病院で相談するのもひとつの方法です。病院の敷居が高いと感じられるときは、最寄の保健センターや京都市こころの健康増進センターで相談することも可能です。

心療内科や精神科での治療は、精神療法などがメインになります。気分の落ち込みやイライラが強いときは補助的に薬物療法をすることがあります。大切なのは少しでもご本人が病気と向き合っていただくことです。過食などの症状が残っても社会生活を送っている方もいらっしゃいます。病気じゃなくても、イライラしたりストレスがたまったりしたときお菓子をむさぼることは珍しくないですよね。回復の目標は症状がなくなることではなく、社会生活に支障が出ないように、人生の楽しみや目標にむかって一歩が踏み出せるようになることではないでしょうか?

詳しい治療の説明は日本摂食障害学会のホームページにもでていますので参考にしてください。

      

Q&A

1、飽食の時代にご飯を食べないなんて、わがままではないでしょうか?

拒食症はヨーロッパでは16世紀ごろ、日本では江戸時代中ごろの書物にすでに記録されています。確かに飽食の時代に、食事を拒否するという症状は理解しがたく見えます。まだ医学的に解明されていない面もあり、奇異にみえる面もありますが、れっきとした病気の症状のひとつであり、決してわがままではなく、ご本人の心の苦しみの表れなのです。

2、親の育て方が悪いのではないのではないでしょうか?

多くの人は、病気の原因が自分にあるのではないか、あるいは配偶者(パートナー)にあるのではないかと考えがちのようですが、大切なのはご本人の回復につながる前向きな姿勢です。ご本人の回復につながる支援について考えていきましょう。

3、専門の先生を受診しましたが、なかなか治りません。

摂食障害は複雑な病気です。ひとつひとつを解決するのには時間がかかります。一番焦りやすいのはご本人です。じっくり我慢強く取り組むのもひとつの治療です。ご本人が治療に取り組むのをゆっくり見守ってあげましょう。

4、娘がリストカットをしているようです。

若者の間では、報告されているより高い確率でリストカットをしている人がいるようです。堂々とリストカットをしていると告白する人もいますが、多くは隠されています。リストカットには気持ちのつらさを和らげる作用があります。リストカットをとがめるのではなく、その奥にある気持ちのつらさに耳を傾けてみてください。

5、娘が万引きで補導されました。これで2回目です。

摂食障害の方で万引きをする方は少なくありません。万引きの対象は食品がもっとも多く、不満欲求の耐性の低さ(我慢弱さ)や罪悪感を抱かない独特の心理が背景にあるといわれています。万引きしないために守るべきルールをご本人とじっくり話し合うことが大切です。常習化すると対応が難しくなります。

6、過食のための食料にかかる費用が家計を圧迫しています。(母)

心理的にも物理的(経済的)にも家族に影響をあたえ、巻き込むのが摂食障害の特徴です。一種の歪んだ依存の形とも考えられますが、回復のためには家族も安心して共存できる環境づくりが必要になります。機を見計らって家族の心配事をご本人と話し合って妥協点をさぐり、例えば、週ごとに食費を決めるなどのルール作りをするのもひとつの方法です。