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自傷行為(リストカットなど)

概略

自傷行為は日本だけでなく、欧米を中心とした各国の若者に広く見られる現象です。概ね、10人に1人の若者が自傷行為の経験があると報告されています。また、自傷行為は12,13歳頃から始まるとされ、それはちょうど思春期に差し掛かる、小学校から中学校に移行する時期にあたります。

自傷行為の代表格が「リストカット(手首自傷症候群)」です。リストカットというと、医学的には直接生命に危険を及ぼすことは少ないのに、頻繁に救急室(または学校の保健室)の手を煩わせるために、医療従事者からは敬遠されてきました。 

しかし、この若者のリストカットをはじめとする自傷行為は、実は重要なこころのサインであることが分かってきました。自傷行為をする若者の傾向をみてみると、薬物乱用や摂食障害(拒食症・過食症)に陥るリスクが高く、または女子の場合は不特定多数の男性との危険な性行為を繰り返すものも少なくないということが分かってきました。これらの行動に共通しているのは、「自分はどうなっても構わない」あるいは「自分の健康を損ねても悪いことではない」という投げやりな気持ちや「自分は大事にされる価値がない」という強い劣等感が根底にあるということです。
さらに、かねてからリストカットは「周囲を振り回す行為」「アピール的な行為」とされてきましたが、実際に自傷行為を行っている若者は学校や医療機関で把握しているよりも多くいることが分かってきました。つまり、多くの自傷行為は誰にもみつからず、ひっそりと行われており、少なくとも自傷行為を行うようになった最初の動機は決して周囲にアピールするためのものではありません。

リストカットなどの一つ一つの自傷行為は、直接生命を危険にさらすものではありませんが、その背景にある“こころ”は「死んでもいいかもしれない」というような漠然とではありますが、明らかに「死にたい」気持ちに傾きやすい、危険な状態にあるということが言えます。

対応

自傷行為があるからといって、精神科の病気があるとは断定できません。言葉にならない心の叫び、助けを呼ぶ声なのです。周囲の人は、まずはその状況、つまり自傷行為をしている本人を「受け入れる」「受け止める」事が大切です。もし、自傷行為をした人から相談があったら、そのこと自体を評価しましょう。
自傷行為は、すぐには消えません。自傷行為はないのに越したことはありませんが、問題解決のためには、自傷行為の消失ではなく、自傷行為をせざるを得ない状況を改善することが重要になります。もし、自傷行為をしてしまったら学校の先生や友人、その他相談機関に一度相談して、状況改善にむけて話し合ってみましょう。

もし、相談があったら、以下を参考にしてください。

1、まず、相談にきたことをねぎらってください。

誰でもこころの相談をするのは勇気がいります。若者の多くは、教師や医療従事者ではなく、友人に相談します。とくに、自傷行為をする当事者は、周囲の大人をなかなか信用できないことが多いのです。そのような状況で、思い切って相談にこられたことは大いに評価してあげましょう。

2、頭ごなしに自傷行為を否定しない。

「だめ」と言われてしないでおれる人は、最初から自傷行為はしません。頭ごなしに否定されると、自傷行為をしてしまった自分を否定されたような気分になり、より一層劣等感を増悪させてしまいます。「もう相談はしないでおこう」「やっぱり大人はあてにならない」と人間不信を深め、当事者を孤立させてしまいます。

3、「手当て」をしてあげてください。

可能であれば、消毒やガーゼをあてるなどの「手当て」をしてあげてください。簡単な作業ですが、このような行為を通じて、相談者が自傷行為をした当事者を「大切に考えている」「心配している」ということが伝わります。自傷行為をしてきては、手当てを求めてくることがしばらく続くことが多いでしょうが、それが大切なつながりであったりするのです。

4、エスカレートしないよう、互いに“注意”をする。

自傷行為には、心のつらさを和らげる効果がありますが、次第に薄れてきます。すると、自傷行為自体がエスカレートしたり(傷を深く掘ってしまう、傷を不潔にして放置する)、自傷行為以外の行動に発展したりすることもありえます。状況の改善には、当事者の協力も重要です。自傷行為以外のストレス対処法を一緒にみつけていく作業、エスカレートしないように自分を観察するような作業に、当事者が積極的に参加するような働きかけを工夫してみましょう。 

5、相談にはつづけて応じる体制であることを伝える。

一回の相談で物事が解決することはあまりありません。特に、自傷行為をする若者の背景には複雑な事情があります。自傷行為は、そういう状況を必死に生き抜くための苦肉の策ともいえます。当事者には、そういう生きづらさを一緒に解決していくパートナーが必要です。すぐに明らかな変化や効果がなくても、関係を続けていくことが大切なのです。